ユニクロとジーユー「9%値下げ」もたらす価値 顧客還元の一方でコスト増となる策は吉か凶か
しかし、ここが面白いところなのですが、市場参加者の多くは「そうではなく今回の値下げでユニクロの業績が悪化する未来が予測できる」と考えたわけです。それはどういう考え方なのでしょう。
実はこの悪い方向への予測も経営学的に考えると根拠のある話です。ひとつ象徴的な事例を挙げます。NTTドコモが新プラン「ahamo」(アハモ)について当初発表していた月額2980円から2700円に値下げすると発表しました。
なぜサービス提供開始前に値下げを発表したのか。その理由は2700円が税込みだと2970円になるので、4月からの総額表記でも安さをアピールできるからだと言われています。
これが小売業から見ると宿命ともいえるプライシング上の大問題なのです。陰謀論では「ユダヤの商人が発明した」ともいわれるこの1990円や990円で区切る価格設定の手法は、行動経済学的にみると2000円や1000円で販売するよりも売れ行きがよくなることがわかっています。
細かい調整はうまくいかないケースが多い
そこでユニクロなのですがこれまで2000円程度の価格帯で表示していた商品は実際の販売額は2200円。これを総額表示への変更の際にはどうするのかという問題がこれから起きます。
商品もたくさんありますから、うまく調整して1990円と2490円の商品に振り分けるというのも手ではありますが、実際はそのような細かい調整はうまくいかないケースが多いものです。未来予測的に指摘をしておくと、もし3年後にユニクロの売り場を覗いたら多くの商品が1990円、2990円、3990円といったように切りのいい価格に落ち着いているはずです。
この場合、値上げしてもうまく価格を変更できるのは8000円や9000円の高額商品だけで、売れ筋の商品の場合、大半の商品が値下げすることになると予想されます。人気のUTだってこれまでの1650円から新たに1500円が基本水準になるだろうと予測されるのです。
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