市場の見方も真っ二つ!ドル高はどこまで進む

予想は108円ピーク説と110円突破説に分かれる

米長期金利の上昇を背景に騰勢を強めるドル・円相場。ここからの上昇余地について2018年以来となる1ドル=113円に到達するとの予想が出てきた。一方、108円台がめどとみる向きもあり、市場関係者の見方が分かれている。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏ストラテジストは、米国では各所で物価上昇圧力が見られており米金利の上昇圧力は強いと指摘。「米長期金利は新型コロナウイルス前の1.9%という水準もまったくは無視できないところにきている」と述べ、ドル・円も今後半年程度を考えれば「113円くらいまでは視野に入れていい」とみる。

ドル・円は年初から4%以上上昇し、5日には一時108円台を付けるなどブルームバーグが集計した金融機関の21年3月末の予想中央値(104円)を大きく上回っている。 

ドル・円上昇の原動力となっているのは米長期金利の上げ。追加経済対策やコロナワクチン普及による米経済正常化期待、さらに4日の講演でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が金利急上昇に対して強い懸念を示さなかったことから、米10年物は年明けから60ベーシスポイント(bp)超上昇している。

クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は「年央過ぎにもオーバーシュート気味に110円到達はあり得る」と予想する。夏過ぎにはワクチン効果で大幅に改善する可能性がある米国経済に対し、日本での接種の遅れを指摘。また、ワクチン輸入や原油高など国際収支の面から円高が想定しにくく、米金利が上がればドル・円もついていきやすいとみている。

一方で、ドル・円の上昇は終わりに近づいているとの見方もある。三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、米長期金利上昇により株価が不安定化する地合いではリスク選好の円売り拡大は見込めず、米国の雇用情勢を考えれば短期ゾーンの米金利が利上げを織り込み上昇していく可能性も低いと指摘。「108円台が上値のめどで、ここからさらに上がっていく感じではない」とみる。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長によると、現在のドル・円は日米長期金利差が10bp拡大すると70銭上昇するという相関関係にある。JPモルガンが予想している米長期金利1.65%では108円半ばがめどになるという。

佐々木氏は、今の相関でいくと米長期金利が2%までいけばドル・円が110円に乗せる計算になるが、その前に米金利が低下に転じる可能性があると予想。「日本の投資家にとってはヘッジ付きの米10年債投資で100bp以上のキャリーが取れる状態なので市場が落ち着いたら買うだろう。ヘッジ付きなら為替に与える影響がない一方、米債利回りは下がるので結果的にドル・円は下がる」とみている。 

 

著者:小宮弘子、Chikako Mogi

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