「ヅカファンとカープ女子」意外な2つの共通点 「エンタメ業界」に起死回生の一手はあるのか

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宝塚歌劇のファンもまたカープ女子同様、シロウト同然の頃から生徒(劇団員)を応援し、トップへと登っていくプロセスを伴走し消費活動を行う。

宝塚歌劇団の舞台に上がるには必ず宝塚音楽学校を卒業しなくてはならない。つまり、宝塚歌劇団もカープ同様、実力あるプロの役者やダンサーをよそから迎えるのではなく、自前でシロウトを育てているのだ。

ファンは、音楽学校の文化祭、入団後の大劇場公演、バウホール公演にて、お気に入りの「シロウト」を見つけ、その生徒が「プロ」になってトップスターになっていくさまを応援する。

つまり「カープ女子」と「ヅカファン」の共通項は、消費対象が「完成品でなく、未完成」であること、「完成品になり、卒業(退団)するまでの長期間持続」すること、「そのプロセスに対応した商品が展開」できること、「それらをコレクション化」させること等に象徴される。

プロセス消費でコストを削減

カープ女子とヅカファンを比較検討した際、上記の共通項のほかにも興味深い共通項がある。それは「コスト」に関するものだ。「コスト」といっても、収支計算に出てくるような人件費、販売促進費といった企業側に発生するコストではなく、「サーチコスト」である。「サーチコスト」とは、顧客が自身のニーズを満足させる製品・サービスを探すコストのことを言う。

われわれ自身の経験を振り返ればうなずけることだが、情報化社会の進展により、選択肢が広く、多様になった。従来は「2つ3つの選択肢しかない」状態であったものが、ネット検索するとそれが10倍、20倍の数で提示される。それを一つひとつ吟味することは実はわれわれの脳に大きな負担をかけている。選択肢が増えたことは喜ばしいが、ストレスはますます大きくなっているのではないだろうか。

つまり、企業側はそのストレスを顧客に負わせることなく、自社の製品やサービスを選択させることが重要になってくる。サーチコストの削減こそが重要なのだ。

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