「ヅカファンとカープ女子」意外な2つの共通点 「エンタメ業界」に起死回生の一手はあるのか

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「広島東洋カープ」と「宝塚歌劇団」の意外な共通点とは?(写真:show999/PIXTA)
球春到来。3月2日、プロ野球オープン戦が観客数を制限しながらもスタートしました。
近年のプロ野球界における経営戦略には、他のエンターテインメントが参考にすべき要素がふんだんに含まれています。
2月に『宝塚歌劇団の経営学』を上梓した森下信雄氏が、「広島東洋カープ」と「宝塚歌劇団」の意外な共通点について解説します。

カープ女子とはどんな存在か

近年のプロ野球界では、ただ単に試合を「観戦・応援」するだけでなく、飲食・物販という購買行為はもちろんのこと、試合前後に展開されるさまざまなパフォーマンスに各球団が知恵を絞って競う姿が日常化している。

『宝塚歌劇団の経営学』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

なかでも注目したいのが、「カープ女子現象」である。カープ女子とは、広島東洋カープに入団した若手選手に、入団当初から着目し、2軍から這い上がっていく「プロセス」を伴走して、長期にわたりさまざまな消費行為を行う女性ファンを指す。

同球団は、今でこそ毎年優勝争いを展開する強豪チームとなっているが、以前はBクラス常連の地方球団であった。球団経営を支えるのは地元広島市民の熱意である。フランチャイズ球場名が、広島「市民」球場であることがその証しだ。

したがって、選手のマネジメントにおいても、金満球団のごとく、FA(フリーエージェント)による実績ある即戦力の獲得競争には参戦せず、もっぱらドラフトで高校生選手を獲得し、地道に2軍からじっくり育成することをその基本戦略としてきた。

前監督の緒方孝市や、今や広島のトップスターである鈴木誠也も、ともに高卒ドラフト指名で、カープで純粋培養された代表例である。近年も、地元広陵高校卒業の捕手を1位指名する等、基本的に戦略は変わっていない。

FAや社会人を経て入団するある意味「プロ」ではなく、「シロウト」の高卒選手を、脚光を浴びていないときから応援し、消費活動を行い、広報活動も展開する「カープ女子」に、私は宝塚歌劇ファンとの強い親和性を感じるのである。

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