女性管理職の働きがいは上司で決まる? 「2030」先進企業はこうしている

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遺言の作成には、長時間の面談を何度か繰り返す。若本さんはその中で女性らしいきめ細やかさ、話しやすさを感じてもらうように意識する。

「遺言書には『付言事項』という項目があります。家族へのメッセージなど、遺言者が気持ちを残しておける重要な部分。社会的地位のあるような方が、『ママと一緒になれてよかったよ』などプライベートな話をありのままの言葉遣いで聞かせてくれたときに、男性の財コンではこの言葉は引き出せなかったかもしれないと感じました」

ヤンセンファーマ 業務の軽減も上司の判断で

小國薫さん(42)は、米・デューク大学にMBA留学中に、サマーインターンとして働いた製薬会社で病気に苦しむ人々の現状を知り、薬の力で間接的にでもよりよい人生を送る手助けができればと、その製薬会社に転職した。その後ヤンセンファーマに転職。

ヤンセンファーマ統合失調症 マーケティング部グループ長
小國薫さん(42)

ヤンセンファーマはジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門。日本のヤンセンファーマの管理職比率は約19%。20年の30%達成を目標としている。多様性を重視する外資系企業では、”ダイバーシティー”の指すところは性別だけではない。人種、年齢、さまざまな経験などの要素も含んでいる。

「私は製薬業界での経験が4年。部下のほうが経験も長く知識も多い。100%完璧にしなければいけないと思わずに、まずはやってみようと思っています」

産休からは3カ月で復帰した。チームが担当する新製品の発売時期だったため、仕事から離れたくなかった。産休中も会社のパソコンでメールを確認し、復帰に備えた。

「仕事と子育てを両立できているのは、周りのサポートがあるから。チームのプロジェクトがうまくいったり、目の前のことをやり遂げたとき、日々の小さな喜びを感じます」

人事本部長の坂口繁子さんによれば個々の事例を柔軟に扱えるよう、上司に大きく権限が委譲されている。勤務時間や業務を軽減でき、設定した範囲で成果を出せれば、評価が不利になることはない。

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