「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則

日常の出来事を「おもしろい話」にするポイント

しかし、実は世の中の多くの人は、自分について説明する時、感情を語らずに「行動」のみを語る傾向があります。するとその話を聞いている側は、「話し手の感情を勝手に補正して」聞くことになります。

ところがこの補正というのがやっかいで、何に基づいて補正するかと言うと、それは聞き手の「先入観」です。つまり、先入観に基づいて「多分こうなんだろうな」という推測をしながら話を聞くので、聞き手の中に「意外性を感じる部分」が生まれづらいのです。

すると結局、「異常なことが、あたかも普通に行われている」状況にはなりづらく、おもしろい話が成立しづらくなってしまうんです。つまり、当たり障りのない、ありきたりな会話になりがちなのです。

このことがわかっているかどうかは、おもしろい話をする上でかなり重要です。「自分のことを話しているのにあまりウケない」という人は、自分の感情ではなく、行動をベースに語ってしまっているのです。

「行動だけ」を語ると、なぜつまらないのか?

というわけで、どのように聞き手が、話し手の感情を補正しているのか、一連のプロセスを詳しく見ていきましょう。

【例:あるメガネ男子の日常】
〇話し手の見た目・雰囲気(注:人物の先入観を持ってから本文を読んでください)
・身長180センチぐらいの有名私立大学に通う礼儀正しいメガネ男子
・中肉中背で清潔感があり、スポーツよりも勉強が得意そうな雰囲気
・ややテンションは低めで、リアクションは控えめ
・しかし、話し出せば無口なわけでもなく、声も大きくハッキリ話す
Q:昨日、一番印象に残ったエピソードを手短に話してもらえますか?
「今、足の小指が少し痛くてジンジンしてるんですよ。何でかって言うと、昨日の終電間際、まあまあ混んでいる電車に乗ったんです。僕の後に乗ってきた人がギャルっぽい女の人で、電車に乗ってからもずっとペラペラ通話してて。
それで、電車って発車する時、ちょっと揺れたりするじゃないですか。だからスマホで話してるギャルが、その時見事にバランスを崩して、こっちに倒れてきたんですよ。それで、厚底サンダルみたいな靴のヒールで、僕の足の小指が踏まれたんです。
それが本当に、机の角にぶつけた時みたいに、痛かったんですよね。でも、すぐにそのギャルは僕に『すみません!』と謝ってくれました。だから、痛かったですけど、相手は女の人だし『大丈夫ですよ』と言っておきました。言うほど、ひどい話ってわけじゃないですけどね」

改めて、気づいたでしょうか? このメガネ男子は、一切、自分の感情がどういう状態であったかを、自らの口では語ってくれていませんでした。

ですがおそらく、多くの人がこのメガネ男子の感情を補正しながら読んでいたはずです。そのため、中にはこのメガネ男子の不幸話に感情移入し、実は、行動しか述べられていないということが実感できなかった人もいると思います。

次ページ感情の補正プロセスを可視化する
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