「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則 日常の出来事を「おもしろい話」にするポイント

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では、どのように聞き手は、話し手の感情を補正しているのでしょうか? 補正の根拠としているのは、話を聞いた時に湧いてきた聞き手自身の感情と、あらかじめ聞き手が抱いている話し手への先入観の2つです。例えば、次の会話の傍線部が、この話を聞きながら私が抱いていた感情です。

【例:あるメガネ男子の日常(+それを聞いている時に湧いてきた私の感情)】
「今、足の小指が少し痛くてジンジンしてるんですよ。
→(痛そうでかわいそう!)
何でかって言うと、昨日の終電間際、まあまあ混んでいる電車に乗ったんです。僕の後に乗ってきた人がギャルっぽい女の人で、電車に乗ってからもずっとペラペラ通話してて。
→(こんな背の高い男子でも、電車でトラブルに会うのか。世の中物騒だな。しかも迷惑ギャルに捕まったのか。災難だな……)
それで、電車って発車するとき、ちょっと揺れたりするじゃないですか。だからスマホで話してるギャルが、その時見事にバランスを崩して、こっちに倒れてきたんですよ。それで、厚底サンダルみたいな靴のヒールで、僕の足の小指が踏まれたんです。
→(ふーん、やっぱりね。そういう迷惑な人、腹立つなー! しかもよりにもよって、そんな靴で小指を踏まれるって、痛そう!)
それが本当に、机の角にぶつけた時みたいに、痛かったんですよね。
→(あの痛みは、本当に後を引くんだよな~! かわいそう!)
でも、すぐにそのギャルは僕に『すみません!』と謝ってくれました。だから、痛かったですけど、相手は女の人だし『大丈夫ですよ』と言っておきました。
→(ギャルも少しは常識あるんだね。でも、謝られても痛いもんは痛いよな~。だど、こっちが折れるしかないよな。ストレス溜まりそう、その気持ちわかるよ!)
言うほど、ひどい話ってわけじゃないですけどね」
→(いや、ひどい話だよ! そこまで恐縮することないよ!)

行動のみを語ると聞き手に起こること

いかがでしょうか。理解はできていますが、特段、おもしろく感じる部分はないと思います。むしろ、「かわいそう」とか「怒り」のような感情が前面に出てきています。

相手が自分の感情を推測してくれるなら、勝手におもしろく伝わることもあるのでは? 実は、そんなに甘くはないんです。そのカギは、相手の「先入観」にありました。

さて、本題に入りましょう。なぜこの話がそれほどおもしろくないのか。それは、私がこの「行動しか述べられていない会話」を、メガネ男子への先入観および自分に湧いてくる勝手な感情だけで理解した結果、「ただ単にネガティブなだけの会話」になってしまったからです。

「真面目そう」「気が弱いわけじゃないけどおとなしい」「騒ぎを大きくするのは嫌いそう」といった、私のメガネ男子に対する先入観に沿ったありきたりな解釈になってしまうのです。

つまり、話し手が自分の感情のあり方まで他人に委ねてしまうと、「異常なことが、あたかも普通に行われている状態」=「ズレたカツラ理論」=おもしろい話は生まれないのです。だから、行動のみを語るのはダメなのです。

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