オレンジと紺「近鉄特急12200系」惜しまれ引退 令和の新車、名阪特急「ひのとり」にバトン託す

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喫煙車両とともに、最期まで残ったのが車体の色だ。近鉄特急の色は、しまかぜのような特別な車両を除き、オレンジと紺色の組み合わせを基本としていたが、2015年から新しい車体色を導入した。新塗装は、白と黄色を組み合わせて窓下に金色を添えた車体色で、2020年に対象の特急車両で塗り替えが完了している。

12200系は塗り替えの対象外で、オレンジと紺色のツートンカラーが最期まで残された。この色使いは、1958年に登場した初代の2階建て車両の「ビスタカー」から導入されたが、窓まわりを紺色とした塗り分けは1959年に登場した2世代目のビスタカーから採用されたもので、これが近鉄特急の色として定着する。

1990年代にはオレンジと紺色の色合いが明るい色調に変わり、なかには紺色が青に近い試験塗装も施されたこともあった。2019年末には12200系の12251編成で昔の色合いを復刻しているのだが、他の12200系と並べないと色の違いがわからない。塗装を復刻したのは、12200系を活用したキャンペーンやイベントを企画していたためで、鳥羽線全通・志摩線改良50周年記念の企画だったのだが、新形コロナウイルスの感染拡大で中止されてしまった。

引退後も「かぎろひ」や「あおぞらⅡ」で活躍

2021年1月の段階では、12200系は4両編成3本が使用されていた。使用される列車は固定されていないが、近鉄ではインターネットで特急券の購入が可能で、購入時に選択できる座席の並び方で12200系と判別できた。

団体専用車両「あおぞらⅡ」の15400系。12200系の改造車だが、世代交代により、写真の車両を含めて一部が廃車されている(筆者撮影)
「あおぞらⅡ」の15400系のなかには初代の「あおぞら」の塗装を復刻した編成もあり、こちらも12200系から改造されたもの。この車両も、12200系引退の流れを受け、2021年に廃車された(筆者撮影)

通常は夕方までに翌日の車両が決定される仕組みで、現状で使用されている12200系は4両編成だけなので、喫煙ルームや車椅子座席のない列車のほか、座席番号17A~17Dまである車両の右隣(名古屋寄り)に座席番号14A~14Dまである車両が連結されていることも12200系が使用されている目安となっていた。

12200系の定期運行は終了したが、12200系を改造した団体専用車両「あおぞらⅡ」の15200系や、クラブツーリズムの専用車両「かぎろひ」の15400系は今後も使用される。引退する12200系は2度のリニューアルで内装に大きく手を加えた車両でもあり、現在使用されている15400系の代替として活用されるようだが、手軽に乗車できる機会はなくなる。

昭和から平成にかけて当たり前に見られた電車が、また一つ消える。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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