損害保険は業界再々編でも収益力強化は道半ば、世界水準の厚い壁
日本の「失われた10年」の間に、世界の保険企業の勢力図は様変わりした。独アリアンツ、仏アクサ、蘭INGのほか、中国の保険会社も上位に入っており、米最大手の生命保険会社であるメットライフでさえ、かろうじて世界の時価総額ランキングのトップ10に入る程度だ。
ここ数年は欧米や中国の保険会社の台頭が著しい。果敢なM&Aでグループの拡大も進み、世界の大手各社は急成長マーケットである中国、インドなど、アジアを中心に新興国市場へこぞって進出している。
では、日本勢はどのような成長戦略を描くのか。
「経営統合でさらに海外戦略を加速していく」(MS&ADの江頭敏明社長)、「中国、インド、ブラジルなど海外展開を強化していく」(NKSJの佐藤正敏社長)、「国ごとに、成長段階ごとにやり方は違ってくるが、中国、インド、ベトナムなど海外展開にも注力していく」(第一生命の渡邉光一郎社長)と、各社トップは異口同音に海外事業の拡大を唱える。
現実はそれほど甘くはない。国際戦略を実行する以前に、収益源としている国内市場が危うい状況にあるからだ。
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