日経平均3万円だけを見る投資家が見誤る真実 「史上最高値」更新の「重い扉」がようやく開いた

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1月末にかけてはアメリカのロビンフット証券を通じたゲームストップ株の取引をめぐる混乱などで、全体相場は一時的に波乱となった。だが、当面は3つのプラス要因(金融緩和継続、大規模な財政政策期待、好決算期待)は続きそうだ。

マイナス要因がまったく消えたわけではない。だが、アメリカの長期金利の上昇懸念以外は、ほぼ払拭されていくと見る。その長期金利についても、ジリジリと上昇していくものの、それはむしろバリュー相場にとって追い風になるのではないか。

バイデン政権の主要政策の行方に注目

そうしたなか、世界からみた今後の注目イベントは、やはりバイデン政権の主要政策の行方だろう。コロナ対策はもちろん、環境(環境インフラ投資など)、外交・通商、格差是正、情報技術関連政策等の主要政策の中には市場にとっては逆風のものもあり、再確認したいところだ。

もちろん、アメリカの金融政策の行方や、企業決算の動向等に引き続き要注目だ。日本株式は世界の景気敏感株であり、引き続き、アメリカの主要株価指数(S&P500、ニューヨークダウ、NASDAQ等)の動向に大きく影響を受けそうだ。

一方、日本国内のイベントにも注目したい。やはり以下の3つ、すなわち①「新型コロナワクチン接種」②「東京オリンピック・パラリンピック」③「国内政治日程」が重要になる。これらに変更が生じれば、日本株でも物色動向等に大きな影響が出る可能性がある。

具体的に言えば①では3月7日に延期された緊急事態宣言の期限がどうなるか。2月中旬から始まるワクチン接種の完了時期(4月上旬~6月月内目標の高齢者接種完了)が予定通りかどうかといったところだ。

②では3月10~12日にIOC(国際オリンピック委員会)総会、3月25日聖火リレースタートが予定されており、3月末までには方向性が見えそうだ。さらに③では4月25日の衆参両院の補欠選挙、7月東京都議会選挙がある。衆議院議員の任期満了(10月21日)までを見すえ、与党が引き続き安定勢力を保つのか、動向に注目したい。

今後、日経平均株価が3万円から一段高となり、史上最高値を伺うには、上記の国内外の不透明要因等を払拭することが最低条件だ。そのうえで企業業績が2022年以降も前期比で大幅増益基調を継続できるか。ズバリ、金融相場から本格的な業績相場に移行できるかがポイントになる。

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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