中毒者が続出の「クラブハウス」に潜む大問題 ユーザーが爆発的に伸びる一方で懸念点も

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Clubhouseは2020年3月にアプリをリリースしたばかりのスタートアップで、今年1月に公表された資金調達の目的は、アンドロイドアプリの開発やサーバーの増強、サポート体制の確立のためとしている。

アカウントのなりすまし、名誉棄損に相当する発言、あるいは援助交際や違法薬物取引など犯罪行為をどうチェックし、どう対処するのか。アプリが日本語対応していない中で日本市場のサポート体制は今のところ期待できない。

会話の記録は残らず、犯罪の立証ハードルにも

神奈川県座間市で2017年に起きた9人殺害事件。白石隆浩被告はTwitterで犯行相手を物色し、ダイレクトメッセージ(DM)で接触していた。被害者の1人の兄がDMのやりとりに気づきTwitterで情報提供を求めたことで、犯行が露見し逮捕に結びついた。

SNSを介して起きた痛ましい事件だったが、テキストベースで“痕跡”が残っていた故に、犯人も容易に特定できたわけだ。

Clubhouseはアカウントが電話番号と紐づけられ、その点は犯罪の抑止力になるだろうが、犯罪やトラブル、情報漏洩などが起きた場合、「記録を残してはいけない」という規約が調査を難航させる恐れがある。

日本に事業所を置いて運営するSNSは、プロバイダ責任制限法の規制を受けるため、情報発信者のIPアドレスの保存義務があり、何かのときには警察などから提出を求められるが、岩崎さんは「Clubhouseはその辺がわからない。ユーザーがいつログインして、どのroomに入っているかは記録しているかもしれないが、規約に書かれている通り音声が保存されていないなら、room内で起きた問題行為の立証のハードルは上がる」と懸念する。

Clubhouseは自由で親密なコミュニケーションを重視し、ユーザーの良心に信頼する制度設計になっているが、規約が機能しているかもわからず、一歩間違えれば「無法地帯」になりうる。

岩崎さんは「他のSNSで起きていることはClubhouseでも起きるだろうが、どうやって身を守るか、何か起きた後にどう処理するかは、現状では自己責任」と話した。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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