日立の中西新社長が就任会見。「選択と集中の継続」と「成長狙ったM&A」で真のグローバル企業目指す
「日立にフォローの風が吹いている」
日立製作所の中西宏明社長(=写真=)は6日、4月1日の就任後初めて記者会見した。「創業100年を迎える日立が社会インフラ事業で大きく貢献できる時代が来た」として、川村隆会長が打ち出した社会イノベーション事業をグローバルに展開していくことを改めて強調した。
中西社長は、重点的な経営課題を「グローバル」「融合」「環境」の3分野と明言した。このうち「グローバル」では、グローバルトップの事業を作っていくために、若手に権限と責任を与えるとともに、グローバルマーケットの最前線に出し、マーケットインを進める。
「融合」については、情報通信と社会インフラを融合することでスマートグリッドなどの分野を強化していく。「環境」では、原子力、高効率発電、環境配慮型データセンターや鉄道、モーター、インバータ、リチウムイオン電池などを強化し、現在50%近い環境的合成品の売上高比率を2025年度に100%にし、それによりグローバルな成果に結びつける。
そのための経営体制の整備として、この4月にカンパニー制を導入した。社内カンパニーとグループ会社に上場会社同様の責任と権限を与える。具体的には、投資家視点にたった社内格付けを導入。「優良」「普通」「要注意」「要対策」の4つに分ける。
「優良」なら本社に対し、四半期決算を報告すればよく「100億円程度の投資なら事後報告で出来る権限を与える」。一方、「要対策」なら毎月の細かい報告を義務付ける。
日立は昨年上場子会社5社の完全子会社化を実施したが、「5社TOBは一つの出発点に過ぎない。これからも資本の入れ替えや組織の変更を繰り返しやっていく」と選択と集中を進めていく考えを明らかにした。
加えて、「切り離すだけでなく、成長路線でM&Aをやる気があるかというとイエス」「ある地域で事業基盤があり、将来の見通しが一致する企業とのアライアンスや買収を考えていく」とM&Aにも積極的な姿勢を示した。