上司の仕事は「つくり笑顔」と「声かけ」で8割だ 「できない上司」も訓練でできるようになる

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そんな怖いものなしの一倉先生から、「キレすぎて危ない」「あんたはカミソリみたいな人だ。そばを通るだけで傷がつく。ナタぐらいになると、ちょうどいい」と指導されたのが、小山昇です。

当時、武蔵野の幹部16人中5名は、元暴走族でした。それも特攻隊長、親衛隊長、遊撃隊長といった役職付きの強者です(笑)。

そんな猛者たちが「やくざより怖い」と恐れたのも、小山昇です。彼らが人に迷惑をかけるのは、「自分が評価されていない」と思うからです。私は彼らの存在を認め、関心を持って接することで、彼らは変わっていきました。

一倉先生に「切れ味鋭くなくていい」と指摘されてもカミソリを研ぎ続けていた私が、ある人のひと言をきっかけに、「カミソリ」の異名を返上しました。ある人とは、飲み屋のおねえさんです(笑)。

彼女から、「どうしていつも苦虫をかみつぶしたような顔をしているの? そんなんじゃ、モテないわよ!」と指摘され、目が覚めました。

「オレがモテない原因はそれか!」。そして、「つくり笑い」を覚えた。「社員を怖がらせないため」ではなくて、「自分がモテるため」という不純な動機で笑顔を覚えたわけです。

けれど不思議なことに、心を込めずに「つくり笑い」を続けているうちに、自然と「本物の笑顔」になってきて、社員やお客様と親密なコミュニケーションが取れるようになったのです。

愛想笑いやつくり笑いは、偽物の笑顔かもしれない。けれど、最初は偽物でもいい。何百回も何千回も続けていれば、偽物は本物に変わります。「形から入って心に至る」です。

元々は、人前で話すのが大の苦手だった

かつての私は、「人前で話す」ことも苦手でした。

子どものころは吃音(言葉がスムーズに出ない状態)に悩まされ、同じ音を繰り返したり、引き延ばしたり、つまったりしていました。オマケに赤面恐怖症でした。

吃音が治ったきっかけは、中学生のときに聴いた「落語」です。落語を何度も聴き、まねをするうちに、声の大きさ、息継ぎのしかた、間やテンポの取り方が少しずつわかってきて、話し方に自信が持てるようになりました。

高校時代は放送部に入部して、「話し方」に磨きをかけました。お昼の校内放送では私がディスクジョッキーを担当していました。

台本はすべて私の自作。放課後、台本を書いていると家に帰るのが面倒になって、そのまま放送室(スタジオ)で寝泊まりしたことも、たびたびありました。

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