在宅ワークでも「人事評価は同じ」に高まる不満 「評価制度」を見直さない会社は楽観的すぎる

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ただ、こうした企業は、やはりそれなりのコストをかけています。先述したEC系ベンチャー企業は、従業員数50人で年収1000万超の人事部長を採用。さらに人事部が自分たちで見直しをこまめに行えるための人員として2人を配属。50人の会社で3人が人事評価制度にかかり切りになる体制をとっていました。

この会社は収益力が高いのでこれだけの人員が割けるとも言えます。もっと大きな会社のケースになると、倍以上の要員を確保する必要も出てくるでしょう。

新入社員への制度のレクチャーや、運用を徹底するための作業など、仕事は膨大にあります。そこまで覚悟して取り組めるか? 人員を確保することができるか? ちょっと想像しただけでも、決して簡単ではないことがわかります。こうしたことから、見直しが滞ることになる会社も多いのでしょう。

周囲を巻き込んでプロジェクトの一環として扱う

しかしなんとか、人事部の人手を極力増やさないで、もっと無理なく速やかに見直す方法はないのでしょうか。

先述したように、経営者から人事評価制度の見直しを早急にすべし、とのゲキが飛んでいる会社が多いのは間違いありません。人事コンサルティングの依頼で制度の見直しを急かされることが増えています。

先日、アフターコロナに向けた成長戦略の一環として人事評価制度を見直したいとの問い合わせがありました。状況を伺うと、コロナで業績が下降。コスト削減に取り組む中で人件費だけが放置されている気がする。コストだからとむやみにカットはしないが、メリハリをつけたいと考えるようになって、制度の見直しを速やかにしたいと感じたとのことです。

ただ、急いで対応しようにも、多くの会社でそのための十分な人材がいるわけではありません。いったいどうしたらいいでしょうか。

1つ対応策があります。期間限定で、制度見直しのプロジェクトを組織横断で立ち上げるのです。見直すためには現状分析、課題の抽出、見直し案の抽出、社員へのコミュニケーションプランの設計・実施など、一時的に人手を要する状況になります。しかし、あくまで見直しを行うための一時的な増員です。人事部の人員を増やすのではなく、周囲を巻き込み=プロジェクトとしてパワーを増強するのです。

例えば、経理部の社員に協力してもらい、人件費に関する分析を行う。社内のコミュニケーションプランは総務部の知見を活用させていただく。それでも足りなければ、外部の専門家に一部分を任せるのも手かもしれません。

ウイズコロナの働き方にあった仕組みの導入で、さまざまな職場が活性化することを願ってやみません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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