高速バスの"革命児"が挑む、赤字鉄道の再生

ウィラーは北近畿タンゴ鉄道をどう変える?

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JR九州の車両デザインでおなじみ、水戸岡鋭治氏の手による「丹後あおまつ号」

「高速バス市場の先駆者が鉄道事業に参入する」と書くと、いかにも派手なイメージがある。だが、ウィラーがやろうとしていることは、意外にも地道だ。

5月に運行会社に内定してようやく、KTRの詳細資料が開示されたそうだ。そこでまず、データを丹念にチェックして、年齢など属性別に、なぜ鉄道を利用しないのかを分析していく。そしてその原因が、運賃なのか、ダイヤなのか、あるいは駅へのアクセスなのかを見極め、どうすれば鉄道を利用してもらえるかを考えていきたいという。

利便性の改善策としては、運行本数を増やし、1時間おきに同じ時刻に発車するパターンダイヤを導入する構想がある。また、鉄道を軸として、そこへ機動力のある路線バスをスムーズにつなげば駅へのアクセスを改善できると、村瀬社長は考えている。

その場合に想定しているのは、ウィラーではなく地元のバス業者だ。大都市と地方都市を結ぶ高速バス事業では、どの事業者も単独で参入せず、地元の業者と組むケースが多い。そのほうが、スケールメリットが大きいだけでなく、コスト節約にもつながるからだ。今回もウィラーが当地でバス事業を新たに展開するよりも、地元のバス業者と連携するほうが得策と判断したようだ。

地元の利便性向上が最優先

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ビジネスクラス(写真)など、ウィラーの高速バスはさまざまなタイプの座席を用意(撮影:尾形文繁)

ウィラーの鉄道参入と聞けば、多くの人は高速バスと鉄道車両の連携をイメージするかもしれない。

鉄道には脅威となる高速道路も、バス会社には大きな武器となる。関西国際空港に降り立った観光客をウィラーのバスで天橋立へダイレクトに運ぶ。その後は鉄道で沿線観光を楽しんでもらう。ウィラーならこんな戦略も取れるはずだ。

だが、村瀬社長は「観光資源がエリア外としっかりつながっていないため、観光の可能性は高い。確かにそのような提案はした」と認めながらも、「まずは、地元市民の利便性向上策を優先する」と慎重な姿勢を崩さない。

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