英誌ランキングが映す、日本の大学の"弱み" アジア大学ランキングで東大が2年連続で1位だが…

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THE誌は、2010年に米情報サービス会社のトムソン・ロイターと、データの収集や分析などにおいて提携。それまで6つしかなかった指標を13まで増やし、より総合的な評価ができるようにした。また、より客観性を高めるために、「評判」に関する指標のウエートを低くし、「収入」に関する指標などを加えた。

多面的な評価ではあるが、研究の環境や生産性に30%配分しているのに加え、研究がどれだけインパクトを与えたかという「論文引用数」にも30%を配分しており、「研究」に関する指標のウエートが高くなっている。

実は、この配点が日本を有利にしているようだ。評価指標ごとに見ると、東京大学は教育(84.7点)、研究(88.0点)、論文引用数(69.8点)で圧倒的に2位以下を引き離している。2位のシンガポール国立大学は、教育が68.0点、研究が77.8点、論文引用数は66.4点だ。

2つの指標で後れを取る

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「国際的な展望」と「企業からの収入」が日本の弱み(撮影:尾形文繁)

一方、それ以外の指標で比較してみると、日本の弱みも明らかになる。「国際的な展望」「企業からの収入」という2つの指標について、それぞれトップ5大学の中の1位と比較してみよう。

国際的な展望の指標で高得点を取っているのはシンガポール国立大学で94.3点だ。東京大学は29.6点というお粗末さ。この点数は、2013年度の27.6点からは上がったが、それでも上位のどの大学よりも格段に低い。企業からの収入については、北京大学が99.9点、ソウル大学が86.0点を取っている。東京大学は56.7点だ。

日本では目下、多くの大学が国際化への取り組みを進めている。だが、資金面における弱さは根本的な問題だ。「多くのアジアの国は、高等教育への投資をその国の経済成長を導く重要なものとしてとらえている。保守的で危機感が薄いという点も、日本にとっては致命的だ」とベイティ編集長は警鐘を鳴らす。

堀越 千代 東洋経済 記者

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ほりこし ちよ / Chiyo Horikoshi

1976年生まれ。2006年に東洋経済新報社入社。08年より『週刊東洋経済』編集部で、流通、医療・介護、自己啓発など幅広い分野の特集を担当してきた。14年10月より新事業開発の専任となり、16年7月に新媒体『ハレタル』をオープン。Webサイト、イベント、コンセプトマガジンを通して、子育て中の女性に向けた情報を発信している

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