日興コーディアル証券の前途多難、天下獲りをブチ上げたが…
日興コーディアル証券が実に野心的な経営計画を打ち出した。昨年10月、三井住友フィナンシャルグループの100%子会社となってから発表する初の計画だ。
2012年度の数値目標は純営業収益(一般企業の売上高)3000億円(09年度比1・7倍)、経常利益1000億円(同2・6倍)。一方、人員は3年で約1000人増やし、8000人体制に。毎年新卒を500人、中途を200~500人採用する。
そしてだ。10年後には「本邦No.1の総合証券会社」となり、圧倒的な存在感を発揮するともいう。本邦No.1とはつまり、野村ホールディングスを抜くということ。現状、営業収益で日興は野村の8分の1程度。長期目標とはいえ、強気も強気である。
問われる融合の成果
体制強化に向け、親会社から続々と役職員が送り込まれている。4月1日付では三井住友銀行で法人部門を統括した副頭取の相亰重信氏が日興の代表取締役会長に就任。また、旧大和証券SMBC(現・大和証券キャピタル・マーケッツ)幹部が執行役員として5人、部長クラスで8人入った。大和との合弁解消で銀行に引き揚げた200人が日興へ“移植”されつつある。
今の日興は法人部門が弱点。総合証券と言いながら法人部門の収益は全体の1割以下。これを3年後には3割強(純営業収益で1000億円)へ引き上げる。法人部門の強化こそ最大テーマで、三井住友との連携が試される。
今後は銀行のコネクションを生かして、いかに引き受けやM&Aの実績を上げ、社債・株のトレーディング増大につなげられるかが焦点。海外展開は、年内のロンドン現法新設計画を発表した。「シティグループ(日興の前親会社)との連携もハイレベルにしたい」(渡邉英二社長)と言う。