「奴らは最低」ビートルズ活動初期の意外な秘話 ジョンとポールが初めて出会った日
あの日、ライム・ストリート駅(リバプールの主要鉄道駅)の周りは大変な混雑で、私たちは盗まれないようにとチケットを握り締めた手をコートの懐に入れて、人混みをかき分けて劇場に向かいました。
女の子たちはものすごくアグレッシブで、あんな姿を見るのは初めてでした。あまりの大混乱で、劇場に着いたらスタッフが手を引っ張って中に入れてくれて。救急隊も待機していて、失神したファンを救助して。女の子が失禁するのも初めて目撃しました。
――そんな状態でコンサート自体は楽しめましたか。
もちろんです! 驚異的な体験でしたからね。モータウン・レコードのメアリー・ウェルズも前座で出演することになっていて楽しみにしていたんですが、もちろん、彼女の歌声を聴くことはできませんでした。
でも、ポールが腕時計を指差す姿は、はっきり覚えています。今でも最後の曲の前にやる、あのジェスチャーです。で、「のっぽのサリー」のイントロが少し聞こえたのも、覚えています。あと、「恋する二人」も演奏したと思います。ちょっとだけ、ジョンのボーカルは聴こえたんですが、もうとにかく、驚異的。その一言に尽きます。
ジョンとポールが出会った場所にいた!
――リバプールの住民でも、ビートルズのコンサートに行った人はそう多くないと思います。そんな中、コリンさんはジョンとポールが初めて出会った日(1957年7月6日)もその場にいたんですよね?
そうです。2人が出会ったウールトンの教会のお祭りに行っていました。でも、当時、ジョン・レノンは私より9歳年上(の16歳)です。私は子どもで、(ビートルズの前身の)クオリーメンはティーンエイジャーたち。この年齢差は、子どもにとっては大きいですよね。両親からも、テディボーイやティーンエイジャーには気をつけるように言われていましたし。
とはいえ、クオリーメンは地元の若者です。みんな彼らのことを知っていましたから、怖いという印象はありませんでした。それに、彼らはカッコつけていましたが、実際は不良ではありません。
でも、私のその日の思い出と言えば……。小さい頃から家族と何度も行っている村のお祭りですから、クオリーメンよりも警察犬のショーのほうをはっきり記憶しているというのが正直なところですね。警察犬のショーについて聞いてもらえたら、かなり詳しく話してあげられますよ。かっこいい犬の姿は今もはっきりと目に焼き付いていますから(笑)。
――クオリーメンの姿は覚えていないんですか。
ほとんど覚えていないんです。演奏を見ているのは間違いないんですが……。今までにない、若者による若者のための演奏でしたし、私は音楽が好きでしたから。ただ、小学生の子どもが、ティーンエイジャーのバンドの生演奏を聴くということ自体、それまでにはないことでした。
1950年代、私は父に連れられて、よく、アメリカのカントリー&ウエスタンのアーティストのコンサートに行っていました。リンゴ・スターもカントリー&ウエスタンが好きですよね? 父と一緒に、満席のエンパイア・シアターでテックス・リッターやロイ・ロジャースも見ました。
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