【産業天気図・家電・AV】リストラ等奏功で業績「晴れ」へ浮上、本格成長回復には新分野育成がカギ握る
こういった施策が、薄型テレビといった既存事業の収益改善に奏功する。たとえばソニーのテレビ事業の場合、10年3月期は500億円前後の事業赤字が見込まれるが、これが11年3月期には黒字化が実現できる見通し。メキシコ工場売却など固定費削減策の効果が大きい。テレビ市場そのものは新興国需要を牽引役に成長が続くとみられるが、価格下落も厳しい。韓サムスン電子などアジアメーカーとの競合も厳しい。業界各社は3Dテレビなど高付加価値型の製品を訴求しながらも、足元の業績面では費用減による浮上効果でしのぐ面が大きい。
今後の業界の注目点は、自動車電池などのエネルギー関連や、インターネットを経由した各種サービスなど、各社が中期成長材料と位置づけた事業の収益化となる。特にパナソニックは、二次電池や蓄電池、太陽電池などエネルギー関連の強化を狙い三洋電機<6764>を巨額買収している。三洋とのシナジーによる成長を実現することが、バランスシート面でも課題となっている。
中位メーカーも足元は大手にならうが、中期的には財務戦略が企業成長を分けそうだ。パイオニア<6773>は三菱電機<6503>などからの出資と公募で350億円を調達、有機EL照明など新規事業の育成や社債償還を控えた中期展望に備えができた。一方JVC・ケンウッド・ホールディングス<6632>は、自己資本比率20%割れの状態が当面続きそうだ。投資体力が見劣りする状況が続けば、中期的には同業との合従連衡も模索する必要が出うる。
(杉本 りうこ)
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