新駅開業で大注目「綱島」再開発でどう変わるか 東急新横浜線が22年度開通、道の狭さが課題
戦時中に駅名は「綱島温泉」から「綱島」に変わったが、戦後の綱島温泉は東京の奥座敷として人気を博し、多くの人々が訪れた。綱島駅南西の温泉旅館街には旅館だけでなくレジャーランドも造られ、最盛期を迎える。
しかし、それもつかの間のこと。1964年に東海道新幹線が開業し、熱海をはじめとする伊豆の温泉地が近くなったことで客足は減った。さらに、綱島温泉周辺は高度経済成長により宅地化が進んだ。
そこで綱島温泉は温泉街から商業・住宅エリアへと脱皮を図ることになる。1976年には「綱島西地区 街づくり憲章」が作られ、商業施設開発を中心として共同建築が進み、商店街「パデュ通り」が整備されたのをはじめ、商業開発やマンション開発も進展した。
その後、綱島温泉を代表した日帰り温泉施設「東京園」が東急新横浜線の建設工事に伴い2015年に休業、建物は解体された。現在の綱島には温泉地としての名残を見つけるのは難しい。しかし、忘れ去られたわけではない。冒頭に紹介した駅名の公募では「綱島温泉」が1位の「新綱島」に次いで多かったことにも表れているように、地域の人々にとっては重要な歴史として認識されている。
とにかく道が狭い
現在の綱島駅周辺を歩いてみると、とにかく街路が狭いことに驚かされる。駅は高架になっており、西側に出ると線路沿いの「ウエストアヴェニュー」をはじめとする商店街が広がる。目立つのは飲食店や総菜店だ。駅構内と高架下には、2020年3月にスーパーなど8店舗の入る商業施設「エトモ綱島」が開業した。
「ウエストアヴェニュー」を南に向かうと交通量の多い道を渡る。県道106号子母口綱島線だ。道を渡ると「パデュ通り」に入る。モール化されてしゃれた雰囲気の通りには、総合スーパーのイトーヨーカドーのほかチェーンのカフェなどが並ぶ。イトーヨーカドーの前には多くの自転車が駐輪されており、近隣から買い物に来る人の多さがわかる。周辺には大規模マンションも多い。
反対側の駅東側も、狭い道沿いに中小のビルが立ち並ぶ。北口改札を出た高架下にはバスターミナルがある。バスはバックして入っていく形のため、誘導員がひっきりなしにバスを誘導する。発着路線は東急バスが中心で、西にある新羽営業所方面や北西にある横浜市営地下鉄グリーンライン高田駅方面に向かうバスが多い。このほか、川崎駅へ向かう川崎鶴見臨港バス、鶴見駅や横浜駅に向かう横浜市営バスも発着する。
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