企業送迎バスを生活の足に「自動車の街」の実験 静岡県湖西市、シャトルバスに市民が「相乗り」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

湖西市はこの自家用有償旅客運送の制度を活用することで、「白ナンバー」である企業の自家用シャトルバスによる住民輸送を可能にしたという。冒頭で述べた通り、同制度を活用した企業シャトルバスによる一般客の輸送は国内で初めてだ。

湖西市で今回の実証実験を担当している産業部産業振興課の馬渕豪課長代理によると、実証実験にあたっては、シャトルバスを保有する企業各社と綿密な調整を繰り返したという。「企業シャトルバスの運行を別会社に委託しているところもある。引き受け先はいわゆる交通事業者ではないため、特に運行管理の問題についてはよりしっかり丁寧に詰めた」と馬淵氏は語る。

企業が従業員用に走らせているのだから、そこへ市民が無料で便乗できれば……とも考えられそうだが、「万一事故などが起こったときの責任の所在をはっきりさせるために、乗客は湖西市に対して運賃を支払う格好となっている」(馬渕氏)という。保険加入についても、こうした企業との相乗りといったコラボの前例がないため、企業側と市側が保険料やリスクを応分負担する形で解決した。

予約はスマホアプリと電話で

利用に当たっては、スマートフォンのアプリを通じて予約を行うことになる。自分が乗りたい日時と区間を選ぶというシステムだ。だが、そもそも高齢者をターゲットとしてバス乗車を促す試みであり、スマホによる予約限定では馴染まない。そこで、今回の実証実験では利用者からの電話予約も受け付けることにした。

今回の実証実験では、運賃は「コーちゃんバス」の回数券で支払う方式をとった(筆者撮影)

予約のデータは市の担当者のほか、実際に運行に当たっているドライバーにも車載の端末を通じて伝えられるシステムを構築している。

利用料金については、こちらもスマホのアプリ経由で決済できればいいところだろう。だが、馬渕氏によると「システム構築に手間と費用がかかる」という理由で、当面は既存の「コーちゃんバス」の回数券を使うことで解決を図った。

次ページルートの設定には課題
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事