金正恩「経済目標は大きく未達」と述べた理由 今党大会で「実現可能な」5カ年計画を提示か

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金委員長は「社会主義建設において新たな勝利を得るために闘争を繰り広げているわれわれの努力と前進を妨害し、障害となるいくつかの挑戦は外部にも、内部にも依然として存在している」と述べた。さらに「欠陥の原因を客観ではなく主観に求め、経験と教訓、犯した過ちを全面的に深く分析し、総括しよう」と付け加えた。

金委員長は対南(韓国)・対米政策については言及しないまま、経済とコロナ禍、2020年に発生した大規模水害からの復旧など国内問題にのみ集中して述べた。例えば、「欠陥の原因を客観ではなく主観に求め」と触れたり「蓄積された苦しい教訓」と述べるなど、「つらい教訓を繰り返さないように予防すべきだ」とし、過去のように対外的な環境のせいする代わりに、国内での行動に原因を求めようしている。

これは、故・金日成主席が1993年に当時の「第3次7カ年計画を本来予想していた通りに遂行できなくなった」という報道により、北朝鮮が初めて経済の失敗を認めたことがある。当時は失敗の原因を、旧ソ連・東欧圏の崩壊といった外部の変化が原因だとしていた。

現場の実状を知るため調査チームを派遣

北朝鮮は2020年中に開催された党総会と政治局会議などで経済目標が未達であることを正直に認めているが、今回はその表現がさらに強まった。金委員長は「そのまま放置すればより大きな障害に、ネックになる欠陥を大胆に認め、再びそのような障害が繰り返されないように断固たる対策を立てるべきだ。今回の党大会はそのような大胆さと信念に基づいて開かれた」と正直に吐露している。

これまでのように「自力更生」を叫ぶだけではなく、実質的な代案を用意して国家的に飛躍できる党大会にするため、事前にその方法を模索した跡がうかがえる。それは、大会開催を前に、経済の実態を全般的に把握するような調査を行ったことを明らかにしたためだ。

金委員長は党中央委員会が非常設の中央検閲委員会を組織して、「実態を把握し、現場で働く労働者や農民、知識人の党員から意見を真摯に聞くようにした」と明らかにした。今回、臨時の調査チームを各道に派遣し、状況を把握した後、再び省庁や中央機関で調査し、現場での実態を正確に点検したという。

金委員長は「間違っていることは何か、その原因は何かということなど、調査チームが現場の真相を把握した」と述べている。また、「この5年間の党財政事業を分析・総括し、改善策を研究する事業も進めた」と述べ、いわば聖域化していた党の財政状況も経済調査対象の例外ではなかったことがわかる。

北朝鮮は2018年に初の米朝首脳会談を行ったにもかかわらず、国連やアメリカなど経済制裁が続いている。そのような状況の中で、2020年にはコロナ禍と大規模水害が重なり、制裁・コロナ禍・水害という三重苦に陥っている。

劣悪な衛生状態にあるとされる北朝鮮は、新型コロナウイルスの流入を防ぐために2020年初から国境を封鎖した。そのため、北朝鮮経済の命綱を握る中国との貿易も遮断されている。2020年11月単月の中朝貿易額は、電力を除けばわずか200万ウォン(約19万円)にすぎなかった。
(韓国「ソウル新聞」2020年1月7日)

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