研究で判明「睡眠が足りない人」が求める食事 食事と睡眠の切っても切れない関係がわかった

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スタンジは長年、食事と睡眠の関係を研究している。その研究が示唆するのは、眠りを促す成分が含まれるとされる1つか2つの食品に注目するよりも、食事全体の質に注意したほうがよいということだ。

スタンジらは、無作為化臨床試験で26人の健康な成人を集め、その26人が食べるものを4日間コントロールし、栄養士が準備した食事を与えて、夜間の睡眠状況もモニターした。5日目には、被験者らは好きなものを何でも食べることが許された。

スタンジらは、飽和脂肪酸を多くとり、野菜や果物、全粒穀物などに含まれる食物繊維をあまり食べないと、「徐波睡眠」の減少につながるということを発見した。徐波睡眠とは、深い、脳の回復を促す睡眠だ。

深い眠りに必要なのは「複合糖質」

これまでの臨床試験では全般的に、糖質が睡眠に大きな影響を及ぼすということが示されてきた。脂肪やタンパク質の多い食事ではなく、高糖質の食事をすると、人はかなり早く入眠する傾向がある。これはトリプトファンの血液脳関門の通過を、糖質が助けていることが関係しているのかもしれない。

しかし、ここで問題となるのは糖質のクオリティだ。実は、睡眠にとって、糖質は諸刃の剣となる可能性がある。

スタンジの研究によると、より多くの単純糖質、例えば白パンやベーグル、ペストリー、パスタなどを多く食べると、夜中に目が覚める回数が増えるという。つまり、糖質を摂取すると眠りに落ちるのは早くなるかもしれないが、食べるなら食物繊維が含まれた「複合糖質」を食べたほうがよいということだ。そうすると、より深い、回復を促す眠りが得られる。

「複合糖質を摂取すると、血糖値がより安定する。複合糖質がよりよい眠りに関係する可能性があるのは、血糖値が夜に安定するからだと考えられる」とスタンジは言う。

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