韓国経済「2021年プラス3.0%」成長は可能か 好調な半導体産業が主導、カギは消費
――2021年度のプラス3.0%成長は妥当でしょうか。韓国銀行は「世界の新型コロナウイルス感染は2021年半ば以降、徐々に収束に向かい、経済活動の再開で世界経済は2021年後半に新型コロナウイルス感染前の状態に回復する」というシナリオを描いています。
プラス成長になるのは確かで、2020年よりはよくなるでしょう。韓国の潜在成長率は3%台なので、プラス3.0%成長というのはおかしくはありません。
ただ、これまでの韓国経済をみると、回復への力強さが感じられないのが気になります。1997年の金融危機、2008年のリーマンショックによる落ち込みからの回復と比べると、今回の回復力は弱い。
例えば、1997年の前年比成長率6.2%から、98年はマイナス5.1%に落ち込み、99年にはプラス11.5%へと回復しています。同様に、2008年は3.0%から2009年には0.8%、2010年には6.8%とV字回復を遂げています。これらの数字から見ると、今回は上向く角度がなだらかです。
連続マイナス成長はないが消費の回復力が弱い
やはり消費の回復がどこまで進むかがカギで、その回復が本調子からは遠いと韓国銀行は内心、みているのではないでしょうか。コロナ禍は、国民の不安心理が作用してまず消費に影響を与えます。
――日本同様に韓国でも感染者数が増えています。3.0%という予測が外れる可能性はありますか。
マイナス成長が2年続くということはないと思いますが、やはり回復力の強弱が課題です。半導体産業は好調でしょうが、消費の回復がどこまで進むか。また、輸出がどこまで戻るか。ということは、米中両国の景気がどこまで戻るかに左右されますので不安定要素は依然として残ります。
――元徴用工判決への対応や韓国で発生した日本製品不買運動など、日韓の政治的関係の悪化が経済に影響を与えたままです。
よくなる兆しがないですね。日本政府による半導体関連部品の輸出規制強化も続いたままで、韓国としてはこれを取り下げてほしいと要求しています。規制品目の輸出が止まったわけではありませんが、日本企業の海外への生産移転といった形で日本経済への影響が出ています。
これらの問題は政治外交的にシンボリックなものになってしまったので、逆に取り下げる、あるいは妥協するといったことが難しくなってしまいました。ただ、韓国での不買運動は収まりつつあります。
――RCEP(地域的な包括的経済連携)は2020年11月15日に署名されました。日本をはじめ中国や韓国など15か国の自由貿易圏が構成されることになり、日韓が自由貿易協定で結ばれることになりました。今後、日韓経済への影響はどの程度ですか。
RCEPの中身をみれば、関税率など決して高いレベルの自由貿易協定とは言いにくい。はっきり言って、低レベルなものです。レベルが高ければ日韓間の貿易にも影響がありますが、現状では影響は軽微でしょう。韓国にとっては、日本の工業製品が国内に入り込むことは避けたい。日本にとっては農業産品を取り込みたくない。そのため、関税障壁は高いままです。
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