村田製作所、初の「非創業家」社長が直面する壁 米中対立の激化によって5Gの普及ペースが鈍化

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中島社長は「ローカル5Gはコロナというファクターで加速されている」と語った(提供:村田製作所)
電圧調整を担う積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界シェアトップの4割を占めるほか、通信モジュール、センサー、2次電池など多くの電子部品を手掛ける村田製作所。2020年6月には通信モジュール事業に長く携わってきた中島規巨氏が創業家以外で初の社長に就任した。部品販売の「モノ売り」から「ソリューション提供」へ事業ポートフォリオ変革も進めている。
もともと4G、5Gなどの通信技術進歩や自動車のCASE対応で事業環境が大きく変化してきた電子部品業界だが、2020年には新型コロナという新たな要素も加わった。社長に就任した2020年の振り返りと、今後をどう見通しているか話を聞いた。

5Gの普及が世界的に遅れている

――コロナ禍で2020年4~6月期(第1四半期)の純利益が前年同期比15%減少したなかでの社長就任でした。

2020年は第1四半期に車載向け部品の売上が大きく落ち込んだ。まだ欧州や日本では自動車の実需が大きく戻っていないが、7月以降は中国や米国の自動車市場が回復し、期初に想定していたほど落ち込まなかった。

またパソコンやタブレットの端末の台数需要は通期で昨年度比3%増になると予想している。ただ、これはいわゆる巣ごもり需要によるもので、一過性のものだろう。

――9月には中国の通信機器大手、ファーウェイに対する米国政府による輸出規制が強化されるなど米中対立が激化。影響はありましたか。

ファーウェイが5Gのインフラや開発で先頭を走っていた。5Gの普及が世界的に進むと年初に考えていたが、それが遅れている。(ファーウェイ以外の)他のメーカーでカバーされる部分はあるので5Gは伸び続けるが、短期的に影響が出ているのは残念だ。

一方でスマホ向け部品では大手1社が予定した数量を作れないので、そのシェアを獲得しようとアメリカ、韓国のスマホメーカーや中華圏のシャオミ(小米)、OPPO、Vivoなど各社から過熱気味に相当の受注を受けている。第3四半期(10~12月)は大きな売上に結び付くが、2021年2~3月に調整局面に入るだろう。

中国は大きなマーケットであり、中国の技術とともに成長する国もある。世界の経済圏が2極化しかねず、中国での地産地消を進めるなど米中双方に対応する必要も出てくるかもしれない。部品メーカーとして難しい局面だ。

この記事の続きは東洋経済プラスの短期連載「新社長12人 2021年の展望」で無料でお読みいただけます。連載では以下のトップインタビューも配信しています。

①インタビュー/日本ペイントホールディングス・田中正明社長
②インタビュー/クボタ・北尾裕一社長
③インタビュー/カゴメ・山口聡社長
④インタビュー/三井化学・橋本修社長
⑤インタビュー/岩谷産業・間島寛社長
⑥インタビュー/イオンモール・岩村康次社長
⑦インタビュー/花王・長谷部嘉宏社長
⑧インタビュー/村田製作所・中島規巨社長
劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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