日本人がデンマーク式「大人の学校」で学ぶ理由 北海道東川町で挑戦する日本型「人生の学校」

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このプログラムを運営しているCompathの遠又香さんと安井早紀さんは、もともと慶應義塾大学の同級生。卒業後それぞれが順風満帆にキャリアを積み重ねていたものの、「このまま一生をこの環境で過ごしていいのだろうか」と考え始めていたタイミングで、長期休暇を使って2人とも関心の高かった「教育」をテーマにデンマークに旅行に行ったことが起業のきっかけだったそうです。

プログラムの様子(写真:Compath)

その旅の中でも最も心動かされたのが「フォルケホイスコーレ」でした。立ち止まって人生を見つめ直している人たちを目にして、遠い存在に思ったと同時に「きっと日本でも『人生の学校』は必要だろう」と実感。帰国後も「フォルケホイスコーレ」のイベントを主宰するなど試行錯誤をしていたときに北海道東川町に出会ったといいます。

今後は、転職決定後の利用を想定した1カ月ぐらいの短期の提案や、平日はリモートで働きながら参加できる「週末フォルケ」など、日本独自のものにも取り組んでいきたいということです。

日本で「人生の学校」は根付くのか

日本では「フォルケホイスコーレ」のような人生の学校は根付くのでしょうか。実はすでにさまざまな団体が日本型「フォルケホイスコーレ」を運営してきていますが、まだまだ大勢の社会人が参加するには至っていません。

日本とデンマークでは、社会的システムや考え方が違いすぎるため、そのまま日本で受け入れることは難しいという経緯がありました。例えば、会社を退職してギャップイヤーが生まれると、次のキャリアに影響することも大きな障壁です。

2020年は新型コロナウイルスにより、日本の社会も大きく変化したことは言うまでもありません。リモートワークやワーケーションなどオンライン化で便利になった一方で、コミュニケーション不足による孤独感や閉塞感も増えていると思います。

都会から地方に移住する人が増加しているのも、ストレスの多い都会生活より自然の多い地方で自分らしく人生を送りたい、と考えている人が増えているからかもしれません。

ストレスの多い日本人にとって今こそ必要なものは、「人生の余白」ではないでしょうか。地域とともに歩む日本型「人生の学校」が根付いてほしいと心から願っています。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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