ロッテが日本でホテル事業に参入、1号店の成否次第で多店展開も

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ロッテが日本でホテル事業に参入、1号店の成否次第で多店展開も

総合菓子メーカーのロッテが日本におけるホテル事業に参入する。4月、JR錦糸町駅前に「ロッテシティホテル 錦糸町」を開業。この場所には以前、結婚式場・レジャー施設「ロッテ会館」があり、それを建て替え、業態転換した。1階にはこれも初出店となる、自社運営のチョコレートカフェも展開する。

同ホテルの客室数は213室。宴会場などを持たない「宿泊特化型」のホテルだ(1泊1万3750円から)。特徴的なのは、この規模にもかかわらず、多くの部屋タイプを持つこと。ビジネスマンを想定し、大型デスクを配置したシングルルームや、パナソニック電工が開発した快眠環境システムを導入し「眠り」に特化した部屋、ファミリーでも対応可能なツインルームなど、利用客に応じて9つの部屋タイプを用意した。また高層階には女性専用フロアを設定、ほかにも著名菓子「コアラのマーチ」のキャラクターをフィーチャーした「コアラの部屋」もある。

9つの部屋タイプを用意した背景には、ホテルの立地がある。同ホテルは東京駅や新宿駅などビジネス街へ比較的アクセスがいいうえ、浅草や両国国技館、東京ディズニーリゾートなど日本を代表する観光地・施設からもほど近い。また2012年には墨田区に「東京スカイツリー」が完成する。そのため利用客の7割をビジネス客、3割をレジャー客と見込み、海外客の取り込みも想定する。稼働率は初年度から8割超を目標とする。

新規参入ならではの従来発想にとらわれない取り組みも目立つ。9つの部屋タイプはその一つ。通常同規模のホテルでは運営効率化のため部屋タイプを共通化するが、あえて顧客視点を重視した。また、インテリアデザインには住宅を中心に手掛けるデザイナーを起用。アクセントに木や和紙を使うなど、「自宅でくつろげるような空間を目指した」(山本俊一マーケティング課課長)。ロッテでは自社不動産の有効活用を中心に、ホテル事業の拡大を視野に入れており、山本課長は「今後事業の1つの核にしたい」と語る。

ここ数年業界では、シティホテルとビジネスホテルの中間の価格帯を狙った、特徴を出した宿泊特化型ホテルが増えていた。ただ景気低迷を背景にした単価下落など、苦戦も目立つ。たとえば、藤田観光が08年秋に立ち上げた新型ホテル「グレースリー」は現在「業態見直しも含め検討中」(同社)。その中で、新たな発想のホテルがどう消費者に受け入れられるか。この1号店が成功すれば、ロッテのホテル事業が本格化する可能性があるうえ、ホテル業界にも一石を投じることになる。

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