鳴り物入り「デジタル庁」の議論が残念な理由 期待される役割は「ハンコ撲滅」じゃない

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機器制御が関係したプラットフォームの効用はさらに大きい。例えば、建機。プラットフォームに接続された建機が、それぞれ自動運転や運転補助機能を通じて協調的に稼働して、建物や道路をより効率的に建設したりするようになる。すでにコマツのLANDLOGというプラットフォームが、顧客に道路などの建設に必要な制御や情報を提供している。

建機に限らず、さまざまな分野でのプラットフォームの活用が想定できる。農機による農場の耕運や収穫、各種の工場の導入も進んでいくとみられている。

これらの中核となるプラットフォームの開発を促進し、異なった企業の製品を協調的に動かせるような標準化を図ること。それは、関係する企業の競争力を上げ、イノベーションを促進することにつながる。

政府主導で行う企業間の“標準化”の重要性

日本企業は現在でも、自動車、建機、農機、工業用ロボット、医療機器などの製品分野で競争力を保っている。それらと接続するプラットフォームを作ると有利に働くが、反面、もし標準的なプラットフォームを他国の企業に握られると、顧客はそのプラットフォームを通じてしか機器を使わなくなるため顧客と切り離されるだけではなく、顧客の使用情報を握られてしまい日本企業にとって不利になる――それは容易にイメージができるのではないだろうか。

プラットフォームの開発や標準化は、イチ企業では難しく、そこで政府が支援することが期待される。多くの場合、欧米の企業に規模で劣る日本企業が勝利するカギは、標準化なのだ。

さまざまな産業のサプライチェーンやインフラ保全においても、東南アジアやTPP諸国をリードしていけるなら、これ以上のことはない。例えば、トレーサビリティー。食品がイメージされがちだが、それだけではない。鉄などの素材においても、材料の混合の失敗などによる欠陥品を把握するトレーサビリティーの必要は広範囲に及んでいる。

日本で標準化したサプライチェーンの仕組みに、各国の企業が入ってきてもらうようにすれば、自由貿易の観点でも、安全性の観点でも、さらにはデータを他国に握られないという観点でも有利になる。

さまざまな業界での生産や購買、物流などの社内プロセスやシステムの標準化も、政府主導で行えることの1つだ。

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