怒りを我慢する人ほど「死亡リスクが高い」理由 阪神ファンほど血圧上昇しやすいという結果も

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明らかな麻痺や言語障害など脳卒中による特徴的な症状はないため気がつきませんでしたが、実は徐々に動脈硬化が進んでいたのです。身近な人が怒りっぽくなるなど、感情のコントロールがうまくいかなくなったら、将来の脳卒中を予防するためにも、早めに検査に行かれることをおすすめします。

怒りや不安といった感情は、人間だけでなく動物にもあります。感情というのは生体反応の1つだからです。

したがって、感情が動くのは決して悪いことではありません。また、怒りや不安などの感情は急性期的に起こってくるものなので、短期的な影響はほとんどありません。

怒りをためこんではいけない

問題はこれらの感情を“ためこむ”ことです。なぜなら、ためこむことで、その感情は慢性化していくからです。表面上は穏やかに見えても、心のなかでかなり怒りを我慢してためている状況も、よくありません。怒りを我慢してためこんでしまうと、かえって怒りが長引くともいわれています。

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怒りを感じたとき、ワーッと発散するとその場で解決してすっきりしてしまうことがありますが、何もいえずに我慢していると怒りが増してきて、いつまでたっても治らない。おまけにその怒りを自分だけで抱えてしまうと、せっかく忘れていた怒りがまたよみがえってきてしまう――こんな“思い出し笑い”ならぬ“思い出し怒り”の経験、みなさんにもあるのではないでしょうか。怒りをためこんでいることで、自分のなかで何度も何度も繰り返しその感情を味わうことになるのです。

さまざまな感情のなかでも、特にたまりやすいのが怒りです。怒りをためている人は、そのことによってどんどん気持ちが落ち込んできます。やがてこの急性的な感情が慢性化すると、最終的にはうつにつながってしまいます。

大平 哲也 福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授

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Tetsuya Ohira / Tetsuya Ohira

福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授。同放射線医学県民健康管理センター健康調査支援部門長。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本笑い学会理事。福島県いわき市生まれ。福島県立医科大学卒業。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。大阪府立成人病センター、ミネソタ大学疫学・社会健康医学部門研究員、大阪大学医学系研究科准教授などを経て現職。専門は疫学、公衆衛生学、予防医学、内科学、心身医学。

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