スポーツネイキッド「890 DUEK R」に乗ってみた 最高峰MotoGP優勝を果たしたKTMの設計思想

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2019年の投資額は164.1ミリオンユーロ。2019年度の収益は1,520.1ミリオンユーロ、販売台数は280,099台。2020年度の収益見込みは1,400ミリオンユーロとし、販売台数に関しては未発表。本年、上半期COVID-19影響下での収益600ミリオンユーロ、販売台数124,682台(電動自転車含む)。昨年同時期との比較では、収益754.9 ミリオンユーロ、販売台数135,711台(電動自転車含まず)となっている。KTM単一ブランドとしての公表は行っていない。

国内での販売は、KTM Japan株式会社が行っており新型機種導入などもあり、COVID-19の影響から排気量250cc以上の小型2輪車市場が前年比マイナス6.1%と冷え込む中、KTM Japanは前年比13.0%増と好調だ。

マシンコンセプトは「READY TO RACE」

KTMのマシンコンセプトは明確だ。「READY TO RACE」という思想は、マシンにわかりやすく反映されている。可能な限りコンパクトに軽く、細い車体に速いエンジンを搭載するというマシン作りを見れば、すぐに感じてもらえるだろう。世界中でレース活動を行い、その卓越した技術力で結果を残し、そこからフィードバックされた技術をユーザーに届ける。結果として「READY TO RACE」のスローガンは、多くのユーザーに伝わり、楽しむきっかけをつくった。

乾燥車重166kgという驚異的な軽さによる高い運動性能が890 DUKE Rの魅力だ(東洋経済オンライン編集部撮影)

今回試乗した890 DUEK R も、そんなKTMらしさ満載のスポーツモデル。まず走っての第一印象はハンドリングのよさだ。それもそのはずで、890 DUEK Rは乾燥重量166kgと、900ccクラスのネイキッドマシンとして驚異的な軽さを実現している。

例えば一般的な国産900ccクラスの乾燥重量は190〜220kgが平均値で、890 DUEK Rの車重はずば抜けて軽い。国産250ccスーパースポーツマシンと同等に仕上げられている。当然ながら跨がった瞬間からその軽さの恩恵を受ける。

グランドクリアランスを確保するために790 DUKEより15mmアップした車高。シート高は834mmとなる(東洋経済オンライン編集部撮影)

シート高は決して低いとはいえない834mmだが、幅の狭い車幅と座面形状にも助けられて、信号待ち等でも重量から来る不安定感も少ない。圧倒的な軽さで仕上げられた車体の恩恵は、加速・減速・旋回時に少ない入力で正しく車体が反応するメリットにつながる。この車体設計も国産にはないアプローチだ。

ホイールベースは、1,000ccスーパースポーツより長い1,482mm。これはMotoGPマシンと同等の長さだ。そこに625mmのスイングアームでリヤアクスルのホイールトラベルを確保しつつ、抜群の安定感とフロント加重を作り出している。キャスター角は24.3度とスポーツモデルとしては寝かし気味にしながらも、トレール値を少なく設定するなど、決してフロントヘビーなフィーリングではない。

次ページ高次元で調和したフレーム、サスペンション、エンジン
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