2ちゃん創設者が危惧する「日本人の働き方」 「いかにさぼりながらうまくやるか」を追求せよ

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このように、現代の日本は経済が成熟しているため、ただモノを売る、ただサービスを提供するだけでは、存在感を出していけません。何か1つ抜きん出たところが必要です。同時に、そうした製品やサービスを生み出せる人こそがいちばん評価されるべきなのです。

よく、「優秀な人材が来てくれない」という声を耳にします。優秀な人たちは自分を正しく評価してくれる職場か、業務の対価をそのまま収入として得られるフリーランスを選んでいるのでしょう。いまだに年功序列などの古い制度をそのまま採用している会社には見向きもしないはずです。

「時代に合った制度改革」ができるか

僕自身は特別優秀というわけではありませんが、「少ない労力でいかに成果を出せるか」はつねに最重視してきました。まあ、簡単に言えば「いかにさぼりながらうまくやるか」を追求しているのです。

僕が「2ちゃんねる」を立ち上げたとき、ほかにもネット掲示板のサイトはいくつかありました。サイトの管理人たちの中には、メンテナンスや問い合わせ対応などを僕以上に頑張っていた人もいました。 しかし、最終的にいちばん大きくなったのは2ちゃんねるです。注いだ時間や労力は残念ながら結果に比例しないのです。

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とはいえ、僕が大学を卒業した2000年代には、まだ「長く働くほどえらい」と考えている会社ばかりでした。

なので、僕は自分で会社をつくり、「働く時間は関係なく、どれだけ会社の利益につながる仕事ができているかで評価する」という、今で言う実力主義の先駆けのようなシステムを構築しました。

日本人や日本企業自体が無能だとは僕は思いません。実際、日本が世界競争力ランキングでトップを取っているときは、欧米諸国でも日本から学ぼうという流れがありました。単に今は社会の仕組みが制度疲労を起こしているということでしょう。

現在、ランキング上位を占めるシンガポールも香港も、世の中の変化に社会をうまく適応させていくことで成長を続けてきました。僕らが今すべきなのは「昔はよかった」と懐かしむことでも、「将来は暗い」と悲観することでもなく、時代に合った制度を取り入れていくことなのです。

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