大手企業の「東京脱出」がなかなか進まない背景

一方でベンチャーは地方移転の検討増える

「脱東京」に関しては、もう1つ注目のデータがある。総務省が毎月まとめている住民基本台帳に基づく人口移動だ。10月の東京は2715人の転出超過だった。これで7月から4カ月連続で転出超過=人口流出となっているのだ。2020年になってからは、5月を含め転出超過が5回となった。数字的にはわずかではあるが、コロナ禍の中で「脱東京」の動きが続いているのだ。

再開発が進む福岡市天神エリア。ジャパネットホールディングスが入る予定のビル(写真:筆者撮影)

それは個人の動きだけではない。動きの鈍い上場企業ではなくベンチャー、中小企業などが本社機能を東京から移転したり、サテライトオフィスを設けるケースが見られるようになっているのだ。

茶類販売大手のルピシアは、7月26日の臨時株主総会で本社を東京都渋谷区から食品工場などがある北海道ニセコ町に移転することを決めた。ジャパネットホールディングスも11月、再開発が進む福岡市天神地区に新拠点を設け、都内のオフィスからグループ経営機能の一部(約50人)を来年冬をメドに移転すると発表した。

東京は49社の転出超過

改めて、これまでの東京からの本社機能の移転の実情を見てみよう。帝国データバンクの全国「本社移転」動向調査(2019年)によると、東京都は転出・629社、転入・580社で49社の転出超過となっている。

移転先として人気の茨城県(写真:筆者提供)

実は、コロナ禍の前から転出が上回っていたのだ。東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)でみると66社の転入超過。東京圏からの転出先は①大阪府32社 ②茨城県30社 ③静岡県20社 ④福岡県18社 ⑤群馬県、愛知県16社となっている。

同調査が注目しているのは茨城県で、「東京圏へのアクセス性向上のほか、広い本社・工場用用地の確保、AIなど先端分野施設の移転で最大50億円を補助する本社機能移転強化促進補助金など支援政策も用意。東京圏からの移転候補先として近年急速に台頭している」と分析している。

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