北陸新幹線「延伸遅れ」、追加費用と工期の行方 増額分には工期短縮の費用も含まれているが

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しかし、2年後の2019年、今度は人件費高騰などを理由に1兆4100億円に上昇した。この時点で当初予定から2000億円以上が上乗せされた計算だが、今回検証委員会が妥当性を検討するのは、そこからさらに上乗せされる工事費のことだ。

11月中旬から開いている「北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会」の第2回会合=11月20日(筆者撮影)

工事主体の鉄道・運輸機構は1年半ほどの遅れ、つまり2024年度中の開業を目指したとして、さらに工事費2880億円が必要という説明資料を委員会に提出した。機構の再計算をそのまま受け入れるとすれば、総額1兆6980億円。当初の予定より5000億円以上も膨らんだことになる。

ちなみに国土交通省外局の海上保安庁定員約400人の2021年度概算(=予算)要求額は今年度より90億円増えて約2300億円。単年度予算とインフラ経費を比較するものではない、と叱られるかもしれないが、膨らんだ工事費の半分以下で世界有数の海岸線を1年間警備できるのだ。いかに巨額かが実感いただけると思う。

1990年代、関西談合のまとめ役だった故・平島栄西松建設相談役は公共工事を受注する秘訣について、記者にこう語ったことがある。「小さく生んで大きく育てる」――。金沢―敦賀に不正がある、という意味ではない。公共工事費は、昭和の時代から当初見込みと大きく狂う資質がある、ということを物語っているのだ。

2880億円の内訳は

鉄道・運輸機構が検討委員会に提出した資料の一部が公開されている。2880億円の内訳はこれだ。

・物価上昇に伴うもの……910億円
・トンネル底部亀裂の追加工事……200億円
・法令改正による積算単価の増額……10億円
・入札の不調不落による再入札対応……720億
・生コン不足対策に伴うもの……140億円

そして、最後に気になるのが

・工期短縮に伴うもの……900億円

工期短縮の主な手段は、人を増やし、1日の工事時間を長くすることだ。すでに地元だけでは対応できないため、地元以外から増員するための費用、同じく地元以外から重機などを調達するための費用、昼夜作業や冬季作業、構造物を工事現場ではなく工場で作って運ぶなど工法変更に伴うものだ。

だが、工期短縮というものの、どれだけ短縮するのかという目標は明確になっていない。

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