北陸新幹線「延伸遅れ」、追加費用と工期の行方 増額分には工期短縮の費用も含まれているが

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工事中の北陸新幹線・加賀温泉ー芦原温泉間=2020年10月(編集部撮影)

北陸新幹線・金沢―敦賀間の延伸開業予定が、計画より遅れる見通しとなったことが問題になっている。2022年度末開業を目指していたが、工事の難航などにより1年半ほど遅延している状況だという。

延伸区間の沿線自治体や地元経済団体は「あってはならないこと」と強く憤るが、この区間の開業は、当初2025年度末を目標に掲げていた。それを3年前倒ししたところ、やはり工期を短縮することは難しかった、とまさに一進一退を続けている。国土交通省は11月中旬から有識者による検証委員会を設け、原因究明や今後に向けた検討を進めている。

大きな問題は工事費だ。人件費高騰などで2019年に2000億円以上増加し、今回は工期が延びたうえ再度2800億円も上乗せされようとしている。そこで有識者による検証が始まったわけだが――。

2015年に「開業3年前倒し」

北陸新幹線は1997年に東京―長野間が「長野新幹線」として部分開業、2015年には長野―金沢間が開業した。注目される金沢―敦賀間は、日本海沿いを走る延長114.6kmの区間だ。そのほとんどはトンネルと橋、それに高架橋で構成される。振り返ると、その工事認可額は何度も書き換えられている。

2012年に金沢―敦賀間の着工が認可された際の工事費は8968億円。これは土木構造物関連の費用で、軌道や駅設備などを含む総工費は約1兆1600億円とされていた。当初の開業予定は2025年度である。

その後富山、石川、福井3県は北陸経済連合会などと共に議員に働きかけ、2015年1月の政府・与党申し合わせで開業時期は2022年度末に3年前倒しされた。前倒し費用の財源が定まった2017年に軌道や駅設備などの整備が認可され、総工費は1兆1858億円に変更された。

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