「赤いiPhone購入」がコロナ対策支援になるワケ アフリカ地域での戦いとそこから得られる学び

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新型コロナウイルスの感染流行が、日常的な医療現場を逼迫していることは、日本で暮らす我々にとっても大きな関心事となっている。しかしこれが日常となっているのが、医療体制が脆弱なアフリカ地域であり、新型コロナウイルスの流行は、これまでの活動で結実してきたエイズ撲滅への対策を脅かしている。

アップルによると、2020年初頭に新型コロナウイルスの流行が確認された頃から、同社からの寄付はエイズ対策の地域における新型コロナウイルス対策に活用されるようになったという。医療体制の維持が急務とされていたからだ。

南アフリカにおける濃厚接触者の追跡、ガーナでは医療従事者をウイルスから守るための防護具や緊急医療器具の確保に役立てられている。ザンビアでは、アップルが設計したフェイスシールドの寄贈も行われており、また対面での医療サービスが難しくなった地域へ、HIV治療薬を届けるためのオートバイの購入資金にも充てられた。

最も脆弱な地域の人々を守る

オバマ政権時代、環境保護庁長官を務め、2013年からアップルで環境問題、政策、社会イニシアティブを担当するバイスプレジデント、リサ・ジャクソン氏も、今回の取り組みについて取材に答えた。

「アップルでは、世界をよりよく変えていくポジティブな取り組みを約束しています。サハラ砂漠以南の地域におけるHIV/AIDSと新型コロナウイルスとの戦いに対して決定的な影響を与えている(RED)とパートナーシップを結んでいることを、とてもうれしく思います。世界中のアップルの顧客によるサポートを通じて、我々は新型コロナウイルスに対して最も脆弱な人々を守り、HIV/AIDS根絶への取り組みを、継続していくことができるのです」(リサ・ジャクソン氏)

環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデント、リサ・ジャクソン氏(画像:アップル基調講演ビデオより))

ジャクソン氏は環境問題でも、率先してその取り組みを加速させており、アップルが企業として活動していく中で、いかにして世界や社会に対してよいインパクトを与えられるか?を考え続けている仕事に取り組んでいる。

以前インタビューした際、ジャクソン氏は同氏の担当が「アップルの中で最もクリエイティブな現場」であることを明かした。会社中から少しでもいいことにつながりそうなアイデアがメールで集まってくるという。そのうえでアメリカの枠を超えて世界に対して英知をポジティブに生かせる「夢の仕事」であるとも話した。

エイズと新型コロナウイルスの二面で戦わなければならない地域への支援は、翻って、現在医療が逼迫している先進国に対して、新たなヒントを与えてくれる可能性もある。実際、AppleやAmazonは、独自の医療システムの構築に向けた取り組みも行っており、アフリカ地域での戦いとそこから得られる学びが、われわれの生活に生かされる可能性もゼロではないのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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