アップルが「手数料」をついに値下げした理由 今回の対策は「不十分」という声も上がっている

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グーグルとアップルが世界のアプリストアを独占しており、とくにアップルはスマートフォンのシェアは15%にすぎないが、アプリビジネス全体の売上高3分の2を占める。アプリストアのビジネスは同社のサービス部門に属しており、2016年のサービス部門の売上高を2020年までの4年で倍増させる目標も、大幅な上振れで達成したばかりだ。

小規模な開発者の活性化や成長は、プラットフォームを運営し、その手数料収入を得ているアップルにとって、さらなるサービス部門の売上高をもたらすだけでなく、ユーザーと開発者を含むApp Store経済圏のつながりをより強固にすることができる。

一方で、音楽定額ストリーミングのスポティファイや、人気ゲーム「フォートナイト」を開発するエピックゲームズなどの一部の開発者から、一律30%に設定されているアプリストアの手数料が高い、アップルのサービスが優先されている、といった批判を浴び、エピックとは係争中だ。

こうした開発者からの批判に対して、アップルとして一定の配慮を示したと見ることができる。ただアップルのアプリ経済圏独占を問題視している企業にとって、今回の対策は不十分とばかりに、各社からコメントが挙がった。

エピックゲームズのCEO、ティム・スウィーニー氏は、Varietyにコメントを寄せ、「場当たり的な特別セールで、コミュニティを有利に改変している」としたうえで、「アプリ開発者を分断し、アプリストアと決済の独占を維持するためのアップルによる計算された動きだ」と批判した。スポティファイも今回の「アップル税カット」について「独善的で気まぐれ」と批判し、手数料割引とは無縁な自社サービスが、Apple Musicとフェアな競争を可能にするわけではないとしている。

意外な大企業のアプリビジネス参入も?

また大企業が、アプリを用いたビジネスを大規模に展開する、そんな可能性も浮上する。

今回の小規模事業者支援策は、あくまでApp Storeでの売り上げに応じて適応されるかどうかが決まる。そのため、アプリ販売やアプリ内課金をこれまで行ってこなかった場合、たとえAmazonやGoogleのような大規模起業だとしても、100万ドル以下の開発者に分類されてしまうことになる。

こうした大企業が戦略的に、2021年に有料アプリの発売やアプリ内課金を行えば、小規模な開発者と同様15%の割引手数料が適用されるため、安いコストでビジネスの基礎となるユーザーベースを獲得できる。特にサブスクリプションの場合、1年以上契約しているユーザーも15%の手数料に割り引かれるため、たとえ2021年中に100万ドルを超えても、来年以降も低い手数料率を維持できる可能性がある。小規模な開発者が競合する場合、深刻な打撃を与える可能性を排除すべきだ。

アップルは詳細な条件などを12月にも発表するとしている。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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