やや情緒的ながら、BLACKPINKを通じて世界各地で社会現象になっているK-POP人気の背景を追っていくなか、最大の見せ場はアメリカ最大規模の音楽の祭典、コーチェラ・フェスティバルにK-POPガールズグループとして史上初の出場を果たすシーンにあります。
リサの故郷であるタイ・バンコクを皮切りに、アジア・北米・ヨーロッパの国々を9カ月かけてまわったBLACKPINKの2019年世界ツアーに同行した様子を含めてその舞台裏をカメラに収めています。BLINK(ブリンク)と呼ばれる世界中にいるファンにはたまらない未公開場面がたっぷり届けられたというわけです。
ただし、この作品のもう1つの醍醐味はK-POP躍進の裏側を描くところにあります。音楽ドキュメンタリーにありがちなプロモーション優先度は実は低め。丁寧に残されたデビュー前のアーカイブ映像やBLACKPINKメンバー1人ひとりが語る言葉からそんな印象を持たせています。
先の見えない下積み練習生時代
日韓プロジェクト発のオーディション番組で一躍有名になったNiziUのようなグループ結成でデビューの切符をつかみ取るケースもありますが、BLACKPINKのメンバー4人はそれとは異なります。
4人共にYGエンターテインメントに所属するためにオーディションを受け、デビューできるのか保証されないまま練習生として4~6年の下積みを積んで2016年8月にデビューしています。韓国芸能界では手塩にかけて長期にわたって練習生を育てますが、付いていけない脱落者の続出もよくあるのです。以前、ソウルの別のとある芸能事務所を訪れたときも、「この仕組みが韓国芸能のレベルを上げている」という話を実際耳にしました。
「朝から晩まで寝食を共にし、1日の練習時間は14時間。13日連続でトレーニングを受けると、ようやく1日の休みをもらえる」と、メンバー自らそう語り、かつての練習生の姿も映し出されます。当時を振り返りながら、素直な気持ちをよく言葉にするロゼは「先の見えない日々が続いていた」と本音をこぼしてもいます。また客観的な視点を持つジェニーは、「ガールズグループって難しい。センターがいいとかモメ事が起こる。だけど4人の場合は皆が自分の役割を理解しているからそれがない」とタブーの話題もさらりと語ります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら