スクープ!「スキー連盟クーデター騒ぎ」の真相 選任否決された皆川賢太郎・競技本部長が独白
国の補助金を獲得するための戦略も練り直しました。ひと昔前のように「金メダルを取るために強化費へ使いますので協力ください」と頭を下げたら補助金や協賛金が降ってくる時代では、もうありません。強化戦略プランとKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指数)がなければ、補助金は執行されない。
だからきちんとした戦略プランとKPIを設定し、国から適正に評価を受ける仕組みも整えました。その一つが、Division制の導入です。
Division1はジャンプ、コンバインド(ノルディック複合)、クロスカントリー、Division2はアルペン、スノーボードアルペンといった形で、使用する施設や環境が類似する競技をひとくくりにし、資源(ヒト、モノ、カネ)も共有できるようにしました。補助金収入も4年間で2億8600万円(2016~2017年)から4億0880万円(2018~2019年)に増えました。
4年前まで自己負担だった選手の合宿参加費は、今では無償化を前提に強化活動を実施できています。収入増に成功したことで、選手強化費を増やすことができたのです。
会員数は8期連続のマイナス
――ただ、スキー連盟会員数の増加は実現できていません。
会員数は現在約7万6400人で、8期連続のマイナスです。私が競技本部長に就く前からの減少傾向を変えられていません。
減少に歯止めをかけるために、スキー連盟会員登録システム構想を3年前から企画し、理事会で議論してきました。地域連携や発展性、そして一時的な移行負担や退会者増を想定したうえで「シクミネット」を導入しました。これまで手書きで郵送での登録や申請をIT・デジタル化へ踏み切り未来への投資を理事会で決定しました。
――そのことで会員が減ったという指摘もあります。
システム変更に伴い、離れてしまった人も一定数います。今回、北野会長や私を否決した理由の中には、この新システム導入と会員減少が挙げられているのも承知しています。ですがスキー連盟の将来を考えたとき、会員登録のIT・デジタル化は不可欠だったと思います。
ペーパーレス化が進んで加盟団体、地域連盟、クラブ担当者の業務を大幅に削減することも目的の一つとし、一定の評価をいただいていました。一時的に会員が減っても、効率的なプラットフォームを構築することが会員離れに歯止めをかけることにつながると思っています。
さらにはIT大手企業とIP連携を図ることも想定しています。多くのライトユーザーや休眠層に認知してもらって、雪の上や日本代表の応援に来てもらえれば、新規会員の増加にもつながると考えています。
――否決理由の中には、北野会長や皆川さんが「評議員の定数を削減しようとしている」といった声もありました。(編集部注:現在の評議員の定数は49、主に各都道府県連盟の代表者で構成されている。理事は評議員会で選任される)
このあたりは情報がゆがんで伝わっているので訂正しておきたいのですが、理事会から評議員の定数削減を進めようとしたわけではありません。公益財団法人としてガバナンスを利かせましょうと申し上げてきました。
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