「正月休みの延長」がコロナ対策に役立たない訳

GoToも同時に進める菅政権のちぐはぐな対応

経団連や企業に「年末年始休暇の分散取得」を要望した菅政権。コロナの感染防止を目的とする施策だが、その効果は果たして?(写真:CORA/PIXTA)

日立製作所は今月9日、年末年始の12月28日から1月8日までの期間中、社員に有給休暇の取得を推奨すると発表しました。もともと5日間ある年末年始休暇に加え、有給休暇を使うことで最大17連休の取得が可能になります。

来年は1月4日(月)に仕事始めをする企業が多く、帰省による交通機関の混雑が1月3日(日)に集中すると予想されることから、10月28日に政府は新型コロナウイルス対策として経団連や企業に年末年始休暇の分散取得を要望しました。経団連の中西宏明会長が会長を務める日立は、この政府の要望に率先して応えた形です。

今回は、年末年始のコロナ対策や有給休暇のあり方について考えてみましょう。

「休暇分散」がコロナ防止に繋がるかは疑わしい

11月に入って東京や北海道で感染者が増加し、3月下旬・7月〜8月に続く「第3波」の到来が懸念される中、年末年始休暇の感染者対策が重要な課題になっています。ただ、政府が要望し、日立が呼応した有給休暇の取得は、感染対策として有効なのでしょうか。

仮に日立に続いて全国の主要企業が国の要望に応じたら、国民の帰省の時期が分散し、「1月3日問題」は解消されることでしょう。しかし、Go Toトラベルを大々的に実施している状況で年末年始がさらに超大型化すると、国民はこぞって旅行や帰省に出かけるようになります。国民の県をまたぐ移動が激増し、かえって全国的な感染リスクが高まってしまうのではないでしょうか。

羽田空港や東京駅でクラスターが発生するリスクと人の移動が増えて全国に感染が拡がるリスク。政府や専門家は比較分析を示していないので、どちらのリスクのほうが大きいかはわかりません。いずれにせよ政府は、「1月3日問題」だけにフォーカスし、視野が狭くなっています。

2つのリスクを同時に解消するには、年末年始の期間の旅行についてはGo Toトラベルの適用から除外する、JRや航空各社に大幅な割増運賃を適用してもらう、JRの乗車率や航空機の搭乗率を制限する(販売制限)、といった対策が考えられます。ただ、これは旅行需要を喚起しようとしている国の方針に反しますし、年末年始が来月に迫っている今となっては、あまり現実的ではありません。

結局、政府がやれること、やるべきことは、国民に対して直接「帰省や旅行はピークをずらして予定を立ててください。交通機関や旅行先では、感染対策に十分に注意してください」と注意喚起することでしょう。

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