東大生があこがれる“伝説の先輩”の考え方

ハーバード、イェール、スタンフォード、若き経済学者のアメリカ

はじめは数学者志望だったけれど……

――小島さんは、私にとっても大学の先輩ですが、経済学系の大学院生で、小島さんを知らない人はいないほど、有名でした。小島さんにあこがれて、海外のPh.D.(博士課程)を目指す人が増えた、という話まで。いつから、研究者を目指していたのですか?

そんな、褒めてもらうとリアクションに困りますよ……。でも、たいへん光栄です!

実のところ、経済学を始めたのはひょんなことからでした。東大は、3年生から学部が決まり、専門的な勉強を始めるわけですが、何をやったらいいかわからなくて。

たまたま、友人が面白いからと薦めてくれた経済学の教科書がすごく面白くて、それで経済学部に進学を決めました。

――その教科書の著者が、後の小島さんの指導教官である松井彰彦先生だった、と。

はい、松井先生ですね。内輪トークはやめましょう(笑)。

――それにしても、他に類を見ない学歴・職歴ですが、最初は数学者志望だったのですよね? やめたきっかけは、なんだったのでしょう?

「挫折した」、ということを僕に言わせたくて、その質問をしているのはわかっているのですが(笑)、東大に入学した当時は、おっしゃるとおり数学者志望でした。

能力に自信がなかったのかもしれないし、モチベーションの問題もあったのでしょうが、結果的に数学はあきらめました。その時期の迷いから、1年留年しています。

――それが奏功して、日本の経済学界のホープに、というわけですね(笑)。現在はスタンフォード大学で研究をされていますが、もともと海外志向は強かったのですか?

若気の至り、でしょうか。もともと、海外に出たい、と強く思っているタイプではありませんでした。東大在学中の指導教授の松井先生だったり、経済学をやっている友人だったり、周囲の人たちが海外に出るという選択肢を重要視していたため、自然と僕もその方向へ流れたと言いますか……。

割といつも、日本に戻りたい

――確かに、小島さんのパーソナリティは、海外でやっていくぜ!といった感じのいかにもなタイプではありませんよね。日本に戻りたいと思ったことはありますか?

割といつも思っています(笑)。企画の主旨に反するようで恐縮なんですが、日本にはいいところがたくさんあります。そして、大学卒業まで海外に出たことのなかった僕の場合は、家族はもちろん、友達の多くは日本にいます。

ご飯もおいしいし、人は丁寧だし。だから、僕は海外に行かないでも幸せな生活ができるなら、それに越したことはないと常々思っています。

――なるほど! では、どうして、長い間、アメリカで勉強をして、今もスタンフォードで研究を続けているのでしょう?

ある日のスタンフォード大学構内の様子

そうですね、僕の分野は、なんだかんだ言って、今いる職場がいちばんいいからです。

僕のやっているマーケットデザインという分野は、経済学でも比較的新しい分野で、スタンフォードを含むアメリカのいくつかの大学で、特に盛んなのです。

だから、結局、全体を通してみると、ここにいるほうがいいかな、という感じです。

経済学全般に言えることかもしれませんが、やはり新しいものがアメリカで生まれている感じは受けます。

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