大統領選またも世論調査「大きくハズした」なぜ トランプ氏の勢いを今回も読めなかった
その最たるものが、大卒白人有権者の、中でも特に男性におけるトランプ氏に対する支持の高さである。選挙前の全国的、および激戦州における世論調査でバイデン氏有利が伝えられていた大卒白人票だが、出口調査によれば両候補者はこれをほぼ二分したようである。
また、世論調査がトランプ氏に対する支持を低く見積もる傾向にあるのであれば、よく「隠れトランプ」論者たちが説くようにそれは大卒有権者だけに当てはまることではない。高度の学歴を有するトランプ支持者ほど社会的な圧力に面して表向きは対立候補を指示するとのべる傾向にある、と断定する研究も存在する。
信頼できる選挙前の電話調査においてトランプ氏の非大卒白人有権者からの支持率は50%代半ばから後半を推移していたが、出口調査によればこのグループにおける支持率は60%代半ばであり、これは2016年とほぼ同じ水準である。
実際に投票した人々の中でこのグループに属する人の数も判然としない。2016年の結果を受けてさまざまな調査機関がこのことを取り扱ったのだが、その結論はまちまちだった。今回の結果を受けてこの議論が再燃する可能性が高い。
新型コロナは経済を優先する向きが強い
新型コロナウイルスの大流行に関しては、選挙前の調査と比べると経済再開を急ぐのではなく慎重になるべき、と答えた人はより少数だったことが出口調査で明らかになった。最終的に統計の修正が必要だと思われているが、4日午後の時点で、「ウイルスの拡散を食い止めることが重要」と答えた有権者と「経済の再生が重要」と答えた有権者の数の差は9%しかなかった。選挙前のおおかたの調査では、この差は2ケタに達しており、全国的に大多数の有権者が慎重論と拡散防止を訴えていたはずだった。
さらに、ウイルスの流行は事前調査が予測していたほど有権者の投票意欲を掻き立てるものではなかったようである。報道機関の代行としてエディソン・リサーチが行うことが慣例の出口調査に、今年は確率ベースの新たなライバルが出現した。
シカゴ大学の研究機関 NORCによってAP通信のために組織されたオンラインパネルを通じて集計された VoteCastである。出口調査の数字と VoteCastの相違を見れば、コロナウイルス対策に基づいて投票を行う人よりもコロナウイルスが自身の生活に関わる重要な課題であると考える有権者が多かったことが浮かび上がる。