30代独身の僕らに圧倒的に「欠けているもの」 週末のラーメン屋で気がついた充足感と欠乏

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たしかにそうなのかもしれません。朝、決まった時間に起きて、仕事に行って、帰ってきて、寝る。週末には掃除や洗濯をして、趣味に時間を使ったり、好きなだけ眠ったりする。日曜の夜は少し憂鬱になり、月曜日になれば働きに行く。友人とLINEで長々と雑談をすることは皆無。SNSでちやほやされることもない。

そんな変わり映えのない毎日の中、おのおのがマンガや釣りや映画やゲームやキャンプやランニングや週末のラーメン屋で飲むビールなど、手が届く範囲で十分な楽しみを得ている。そして四季のどこかで誕生日が必ず1回やってきて、物音1つ立てずに静かに年齢を重ねる。

こうやって文字にすると寂しい感じが出てしまいますが、周囲のアラフォーの男性や週末のラーメン屋のお一人様を見てみてください。1週間淡々と仕事して、週末はラーメンを食べて家に帰る。きっと来年も再来年も同じような日々を送っている。その様子は、まるで孤独に生きることや、この先数年同じような生活を送り、いつか1人で死ぬことすら受け入れているようにも見えませんか。決して大げさでなく、本気で言っています。

多くの人にとって「手に入れたいもの」

僕だってその1人です。僕は今年38歳になりました。結婚の経験はなく、恋人もいません。2年前に会社を辞めてフリーランスになってからは人との接触がさらに減りました。生きていくために毎日仕事をして、食べて眠る生活です。楽しみは銭湯で入るサウナとキャンプくらいです。多くの時間を1人で過ごします。孤独です。でも、今の生活に不満はなくて、正直に言えば「孤独だけどとくに問題はない」と思っています。

きっと僕と同じような方がたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。でも、この生活を手放すくらいなら一生このままでいいと思っているかと問われれば、決してそうじゃないですよね。ここに独身アラフォーのジレンマがあるのです。

たしかに、昨日と変わらぬ今日を、今日と変わらぬ明日を淡々と生きているのかもしれない。死に向かって。でも、それを本当に受け入れている人なんかいない。孤独と上手に付き合いながらも受け入れる気なんか毛頭ない未来だってある。その未来で手に入れたいものだってある。そして多くの人にとってその「手に入れたいもの」は一緒に過ごすパートナーではないでしょうか。

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