乗車人数を制限、ポーランド「交通コロナ対策」 周辺諸国より厳重だが感染者数増加は止まらず

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ただ、交通機関における対応は、感染者数が急増する前から周辺諸国と比べ徹底していた一方、夜の繁華街では大勢の若者がマスクを着けず、おしゃべりをしながら出歩いている姿も見えた。誰かがウイルスを持ち込んだとしたら、クラスターが発生する可能性は高いだろう。

鉄道車両の運転室後ろのスペース。運転室は密閉できる構造だが、感染予防措置として直後のドア1つ分にあたる空間を立ち入り禁止にしている(筆者撮影)

残念ながら、取材を行った10月2~4日以降、ポーランド国内の感染者数は急増している。ポーランド保健省が10月15日に発表した1日の新規感染者数は8099人、死者数は91人にのぼるなど、危機的な状況になっており、感染予防対策に力を入れていたように見えるにもかかわらず、拡大を防ぎきれてないことが浮き彫りになった。

全国が制限強化地域に

全国的な感染者数増大により、ポーランド政府は10月10日以降、すべての地域を制限強化地域(赤ゾーン38地域、赤以外の全地域を黄ゾーン)に指定し、公共の場でのマスク着用を義務付けると発表した。

10月15日以降は商店や薬局の利用時間について、午前10時から正午までの2時間を65歳以上限定とするなど、さらなる制限措置を講じているが、はたしてこうした対策は効果を生むだろうか。

ワルシャワ地下鉄車内の情報案内スクリーンに表示される、1.5m以上の距離を保つよう注意喚起する画像(筆者撮影)

筆者の居住するチェコも、10月15日の新規感染者数は9721人、死者24人とやはり深刻な状況だ。10万人当たりの死者数は、ルーマニアとスペインを抜き、全ヨーロッパで1番高い数値となっている。

今の各国の経済状況を考えた場合、今後よほどの非常事態とならない限り、再度のロックダウンに至ることはないはずだ。ただ、中欧を中心とした第2波の到来で、第1波のロックダウン解除後に受け入れを再開した国外からのビジネスや観光の訪問客について、再び制限が設けられる可能性は否定できない。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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