温泉地でワーケーション、仕事できるか試した 筆者が実証実験に参加、場所は和歌山県白浜

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当日は平日にもかかわらず、家族連れの旅行者で予想より賑わいを見せていた。特急「くろしお」で使用されている287系は車端部の一部席にコンセントがあり、大型テーブルでPC作業もできる。

現在の「くろしお」の主力である287、289系では車端部の一部席にコンセントがある(筆者撮影)

ただ、周囲では観光に胸を躍らせるファミリーも多いので、その中で淡々と仕事をこなすにはタフなハートが必要だ。沿線に観光地が多い特急「くろしお」の性格を考えても、メインはワーク層よりもバケーション層が主であるのは間違いないので、電車内でPC作業をする筆者に配慮して、はしゃぎすぎないように気を使ってくれる周囲の目が申し訳ないところもある。そこで、車内では開き直って仕事をするのはあきらめ、駅弁を楽しみながら目的地に向けて英気を養うのも一考だ。

部屋はドミトリータイプ

白浜の宿泊地はカブクスタイルが提携する「ゲストリビングMu南紀白浜」。リゾートマンションをリノベーションした建物だ。金額によって月に宿泊できる回数が異なる。人気が高いのは月額1万6000円で世界300カ所以上(2020年9月時点)の提携施設に5泊できるサービスだ。カブクスタイルの大瀬良亮共同代表は「さまざまなライフスタイル、多様性を定額でシンプルに提供しており、ワーケーションに限らず、都内在住の方が集中したいという理由で都内の施設を利用することもある」と話す。

カブクスタイルの大瀬良共同代表(筆者撮影)
ドミトリータイプの部屋。畳部分も寝室スペースになっているため、個人占有できるのはベッドスペースのみ(筆者撮影)

同社のサービスで宿泊できる宿は個室ではなく、共同部屋に自分のベッドが用意されているいわゆる「ドミトリータイプ」の部屋が多い。そのため、自室でゆっくり作業、という形態は取れないが、施設ごとに設備は異なるもののWi-Fiが完備されている共同のワークスペースは用意されている。

昨今では新型コロナの影響で「越県行為」に厳しい視線が注がれる中、ワーケーションの促進には地域や地元との連携、そして理解が欠かせない。東京、大阪などの大都市から訪れる人も増加することが予想される中、和歌山県企画部企画政策局情報政策課の桐明祐治課長は「和歌山県はウエルカムです」と笑顔を見せる。「観光資源が豊富な和歌山県にとってはワーケーションには大きな可能性を感じます。地域に対しても時間をかけて説明を行い、地域とのコラボレーション企画なども考えてきました。全国的に見てもまれだった本年の白浜の海開きの実施、Go To キャンペーンを経ても白浜では新型コロナの感染者は発生しませんでした。これはきちんとした各所の対策と意識のおかげです」と話す。

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