コロナ克服のトランプ大統領が受けた「大打撃」 強い大統領アピールも「重要カード」を失ったか

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10日、トランプ大統領はホワイトハウスで「選挙イベント」を敢行。「新型コロナに打ち勝った大統領」をアピールしたが「大きな痛手」を負った可能性がある(写真:AP/アフロ)

10月2日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は自らが新型コロナウイルスに感染したことを明らかにしたうえで、その後ワシントンDC近郊のウォルター・リード米軍医療センターに入院、5日には早くも退院した。

大統領選挙の年の10月は、11月の投票日を目前に控えていることもあり、投票行動に影響を及ぼすような大きなニュースが飛び出すことが多く、これらは「オクトーバーサプライズ」と呼ばれている。今回の大統領選では、まさにトランプ大統領自身が「オクトーバー・サプライズ」となったわけだ。

トランプ大統領のコロナ感染が判明した後、株式市場は一時大きく売られた。これは政治的な先行きの不透明感が急速に高まったことを嫌気した動きによるものだろう。その後、大統領が深刻な状況ではないとの見方が流れ、マイク・ペンス副大統領や対立候補である民主党のジョー・バイデン前副大統領の検査結果が陰性だったことなどが明らかになり、市場は徐々に落ち着きを取り戻した。

バイデン氏有利でも「大統領選当確」とは言えず

一方、今回のサプライズは現在進行中の重要なイベントの多くに、直接的、間接的に大きな影響を及ぼす可能性があるということに、十分な注意を払うべきだ。

大統領選挙に関しては、すでに大統領が10日にホワイトハウスでイベントを開くなどしていることから、大きな影響はなさそうだ。そもそもアメリカ国内で感染が拡大する以前から新型コロナウイルスの危険性を伝えられていたにもかかわらず、これを無視し、マスクの着用にも消極的だったトランプ大統領の対策のまずさは、これまでも批判の的となっていた。だが、彼の支持者は元々そうしたことを気にかけていない。

結局、大統領を支持しない人の批判的な姿勢がさらに強まるだけであり、このことで支持率に大きな変化が生じることはなさそうだ。まだ支持を決めていない人々の票はバイデン候補に流れるかもしれないが、コロナに罹ったことで同情票が集まる可能性も排除できない。追い上げる立場にある大統領がキャンペーンを十分に行うことが出来なくなったことで、バイデン有利との見方はさらに強まっているが、選挙だけはやはり蓋を開けてみないとわからない。

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