独断で選ぶ「座り心地がいい」私鉄特急ベスト10 鉄道各社の看板特急、乗って比較してみた

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東武鉄道では200系「りょうもう」、2016年登場の500系「リバティ」も活躍している。500系は座席間隔1000mmで、コンセント、網袋、背面テーブル、肘掛け内テーブルを備えるが、座面が硬く、リクライニング角度も浅いので、座り心地は100系が上ではないか。

■2位:近畿日本鉄道80000系「ひのとり」/レギュラーシート

2020年登場で、近鉄名古屋―大阪難波間の「ひのとり」で運行される。レギュラーシートとプレミアムシートの2クラスだ。レギュラーシートでも新幹線グリーン車と同じ1160mmの座席間隔で、全座席バックシェル付きという豪華さから、「ひのとり」特別車両料金がかかるが、レギュラーシートで100~200円。プレミアムシートでも300~900円と安い。

プレミアムシートは座席間隔1300mmで本革の1+2列座席。座席幅は500mm。レッグレスト、シートヒーター、読書灯、肘掛け内大型テーブル、カップホルダー、荷物フック、枕を備える。リクライニング角度は24度。座り心地はいいが、唯一の難点が枕。硬めで首元に膨らんだ形状のため、やや圧迫感がある。

レギュラーシートは背面テーブル、網袋、フットレスト、ドリンクホルダー、荷物フックを備える。リクライニング角度は17度。特筆すべきは座席の軟らかさ。枕はないが、頭の当たる部分が軟らかく、座り心地がいい。個人的にはプレミアムシートより好みだ。

価格以上の価値がある特急列車

■1位:近畿日本鉄道50000系「しまかぜ」/プレミアムシート

近鉄「しまかぜ」(写真:HAYABUSA/PIXTA)

2013年登場で、名古屋・京都・大阪と伊勢志摩を結ぶ。車内で食事ができる「カフェ車両」など、豪華さが売り。プレミアムシート、洋風個室、和風個室、サロンの4クラスで、サロンは4~6人用のボックス席、個室は3~4人用である。

サロンと洋風個室は伊勢志摩ライナーのサロンカーと同じく、座り心地のいい固定座席。和風個室は掘りごたつ式で向かい合せの座椅子だが、リクライニングする。

プレミアムシートは1+2列で座席間隔1250mm、座席幅480mmの回転リクライニングシート。付帯設備は背面テーブル、肘掛け内テーブル、網袋、レッグレスト、枕だ。座り心地は素晴らしく、枕の差で「ひのとり」より上と感じる。なお、和風個室の内装が異なる第3編成は、座席のクッションが追加され、さらに座り心地がいい。

乗車には「しまかぜ特別車両料金」(大人1050円、子ども530円)が必要だが、それを考慮しても「価格以上の価値」だ。 

いかがだろうか。皆様も座席に注目して、快適な旅を満喫していただければ幸いである。

安藤 昌季 乗り物ライター

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あんどう・まさき / Masaki Andou

1973年、東京都生まれ。編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表で、通勤電車の座席から寝台まで広く関心を持つ「座席鉄」。「鉄道ぴあ」「旅と鉄道」「AERA.dot」「週刊日本刀」などで、乗り物・歴史関係の執筆を広く手掛けるほか、鉄道キャラクター企画、ゲームデザイン、イベント主催なども。著書は「教えてあげる諸葛孔明」(角川ソフィア文庫)、「夢の新幹線 ものしり学習帳」(玄光社)「日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き」(天夢人)

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