ファーウェイが中国ハイテク企業へ投資急ぐ訳 頻度増やし投資先を海外から国内へ戻している

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調査会社イコールオーシャンで中国半導体産業を担当するイバン・プラトノフ氏は「出資先の大半はニッチな中小企業だ。得意分野は持っているが、必ずしも国際競争力はない」と述べた。

例えば、哈勃が1月に出資したショルダー・エレクトロニクスは、無線通信用の高周波(RF)フィルターを製造しているが、まだ最先端の第5世代(5G)対応スマートフォンとの互換性を実現できていない。

ショルダー・エレクトロニクスのコメントは取れていない。

また、哈勃が今年出資した3ピークは、無線基地局で利用されるアナログ・デジタル・コンバーター(ADC)を製造しているが、この市場は米国勢が圧倒的なシェアを握る。

3ピークが上海証券取引所の「科創板(スター・マーケット)」上場に先立ち公表した目論見書によると、昨年の売上高はわずか3億元(4399万ドル)。同社のコメントは取れていない。

哈勃が出資しているのは、ファーウェイの主力事業である通信機器分野だけではない。半導体、原材料、バッテリー技術分野の企業にも複数件の投資を行っており、自動運転車の分野を視野に入れていることがうかがえる。

哈勃は先月下旬には、深センを拠点とする企業オープン・ソース・チャイナにも出資。同社は、米国のソフトウエア開発プラットフォーム「GitHub」に対抗する「Gitee」を運営している。Giteeのコメントはとれていない。

提出文書によると、哈勃は通常、投資先企業の株式の5-10%を取得。出資額は公表されていない。

投資ペースを加速

こうした最近の投資からは、ファーウェイが投資の頻度を増やし、投資先を海外から国内に戻していることがわかる。

例えば、ファーウェイは2013年にベルギーを拠点とする光工学(フォトニクス)分野のCalopiaを買収。翌年にはインターネット・オブ・シングス(IoT)分野の英半導体メーカー、Neulも買収した。

ファーウェイの買収先の選定に関与した元社員は「ファーウェイは、研究開発を社内で行いたいという意向が強い。このため、出資や買収は、あくまで最終手段だった。欧米のハイテク企業に投資する傾向が強かったのはこのためだ」と説明した。

(Josh Horwitz記者)

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