住まいに「緑」を取り入れたい人が増える背景 外構やガーデニングへのニーズが高まっている
1日中、家の中にこもりっきりだった自粛期間中、部屋の中やベランダから見える緑を眺めることで、どれほど気が紛れたことか――。
そう話すMさんは、さいたま市内にある戸建て住宅に住んでおり、奥さんとの共働き世帯だ。新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中、彼は奥さん、そして休校中の2人の子どもとほぼ1日中、家にこもりっぱなしだったという。
会社で重要なポジションにいる彼は、仕事はもちろんのこと、家事や子どものことにも向き合う機会が増えた。加えて外出自粛の状況にあり、本来は安らぎの場である自宅にいながらも、ストレスを感じることがあったという。
ただ、そんな緊張を感じたときに、自宅のすぐ側にある川辺の緑に目を向けるようにしていたという。「そうすることで気持ちを落ち着けられたことが幾度もありました。この場所、この家を選んで本当によかった」と、Mさんはしみじみと話していた。
状況はもちろん異なるが、彼のような経験をしている人は、ほかにも多いようで、筆者の別の知り合いにも存在する。また、ステイホームに関する調査がこれまでに発表されているが、暮らしと住まいの中に緑があることの重要性を指摘するものもよく見られる。
郊外型住宅へのニーズが高まる
ステイホームに伴う一連の動きは、人々の暮らしや住まいに関する認識を大きく変えるきっかけとなっている。例えば、住宅取得検討者の中で、郊外型の住まいを求めるというニーズが顕在化してきたと言われている。
それは見方を変えると、人々の「緑」に関する認識の変化が関係しているのではないか、と筆者は感じている。あえて表現するなら、その変化は「緑への回帰」「緑の復権」とも言いえるものではないかと思う。
そこで、本稿では緑のある住環境、室内環境、外構(門扉や塀、植栽などで構成され庭を含む)について、人々の暮らしにどのような変化がみられるのかまとめてみた。
まず注目したいのが、Mさん宅のような郊外にある戸建て住宅にニーズが高まっていると見られること。これまで、根拠が薄く、漠然と語られてきたことだが、最近はいくつかより具体的なかたちで表れてきた。
例えば、「LIFULL HOME’S」が9月8日に発表した「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」。1位が「本厚木」(神奈川県厚木市)となり、次いで「葛西」(東京都江戸川区)、「大宮」(さいたま市)が続いていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら