アメリカが直面する雇用対策のジレンマ--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授
また同様に、今年の末までに、企業による雇用の拡大を目的として、一時的かつ漸増的な大規模減税を実施する時間的な余裕もある。
しかし、議会は迅速に対応するのだろうか。アメリカの政治的な二極化の深刻さに加え、共和党のフィリバスター(議事妨害)を阻止するために上院で60議席が必要であることを考慮すると(現在、民主党は59議席、共和党は41議席を占めている)、議会が迅速に対応するという兆候はない。
これらの必要な政策を順調に立ち上げるための方法は一つしかない。それは、民主党の50名の上院議員が、下院の予算案と上院の予算案の相違を一本化するために設置される両院合同協議会を活用し、審議の手続きを加速化し、1カ月以内に統一案を作成することである。しかしながら、現時点では、このシナリオどおり進むとはあまり期待しないほうがいいだろう。
Brad Delong
1960年生まれ。ハーバード大学で経済学博士号を取得。93~95年に財務副次官補として93年度予算、GATTウルグアイ・ラウンド、医療制度改革に携わった。97年から現職。政治・経済のブログ「Grasping Reality with Both Hands」でも有名
(週刊東洋経済2010年2月20日号)
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