日本と大違い、国が鉄道を救済する欧州の現状 コロナ禍の支援、環境問題対策とセットの国も

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一方で、具体的な支援策を公表している国の中には、経済的基盤が弱くなった鉄道会社への財政支援と、コロナ騒動後を見据えた鉄道インフラのさらなる強化のための先行投資を同時に進める動きもある。

ドイツは6月2日付の記事で既報の通り、政府が2024年までの間に、ドイツ鉄道に対して110~135億ユーロ(約1兆3500億円~1兆6500億円)もの支援を検討している。ルフトハンザドイツ航空への支援金90億ユーロ(約1兆1060億円)を上回る額で、民間企業から公平性に欠けると反発を招いていた。

ヨーロッパの物流を支える貨物列車。中でも複数の大きな港を持つドイツには、欧州各国からの貨物が集積する(筆者撮影)

6月30日にベルリンで開催された鉄道サミットにおいて、運輸・デジタルインフラ大臣のアンドレアス・ショイアー氏は「コロナ騒動による困難な状況下、鉄道が旅客および貨物輸送の両面で、いかに重要かつ信頼性が高い交通インフラであるかを見てきた。将来的により強化されるよう、全力をもって取り組む。われわれは、ドイツの鉄道輸送に関する明確な基本計画を練っている」と述べた。

その基本計画は非常に野心的なもので、2030年までに旅客数を倍増させ、貨物市場のシェアを現在の19%から、少なくとも25%にまで引き上げることを目標としている。とりわけ貨物輸送を道路から鉄道へ切り替えることは、気候変動に対する重要な要素になるとドイツ政府は考えている。

気候変動対策を見据えるフランス

フランス政府は9月3日、47億ユーロ(約5775億円)相当の財政支援パッケージを用意する意向を示した。この中には、都市間を結ぶ幹線の更新や貨物輸送のサポート、地方ローカル線に対する支援強化が含まれている。

フランスのローカル線を走る電車。これまで車中心の社会だったフランスの地方都市にも環境問題の波が訪れ、コロナ対応に合わせてローカル線の活性化にも着手する計画がある(筆者撮影)

この財政支援パッケージは、もちろんコロナ禍により収支が悪化した鉄道インフラを救済するのが主な目的だが、政府は景気回復のためだけではなく、コロナ以前に問題となっていた気候変動への対処など、その先を見据えた長期的な観点に基づいた支援であると述べている。

そのため、この予算の中には鉄道会社の経営立て直しのための資金だけではなく、地方ローカル線の再建や鉄道貨物輸送強化のための貨物ターミナル増設、立体交差化による踏切の除去、さらには夜行列車運行再開へ向けた準備金なども含まれる。

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